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 上司、先輩に裏切られたと思い、やる気を失いつつある上田氏、そして浮島氏や開発部の泉下部長、岡村課長補佐に「どのようなことが起こったのか」これを見ていくことにしたい。

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不満を抱える上田氏

 開発部と企画部の品質改善に関する打ち合わせから、2日が経過していた。上田氏はあの一件以来、浮島氏と満足に会話をしていなかった。浮島氏が外出がちであるという理由もあるが、上田氏が意図的に話をすることを避けていたからだ。

 納得できない……そういう気持ちで心はいっぱいだった。自信をもってアイデアを出した。単なる思い付きではない。多くの専門家に聞いて、自分の考えを固め、多くの社外の人と議論した結果である。

 それを簡単に「アイデアは良いが実効性がない」と言われるのは、納得できない。そういう思いが2日間、上田氏の心から離れないのだ。あの場では、石黒次長は何も言わなかった。開発部長と対立することを避けたということなのだろう。これも納得いかない。

 でも、もっと納得がいかないのは浮島主任である。言うこととやることが違う。あれほど言行不一致な人がいるのか。会社を救うために子会社から戻ってきたと言いながら、会社を変える新しい品質改善のアイデアを通す意欲がないのだ。これほどいい加減なことがあってよいのか。

 上田氏の不満は次第に大きくなり、もはや冷静な状態でいることが難しかった。浮島主任はどうして泉下部長を説得しなかったのか。なぜ、黙って引き下がったのか。まったく分からなかった。

 もはや自分の心に余裕がない。限界だ、我慢ができない、と思った。上田氏が浮島氏を部屋に誘ったのは、そういう理由であった。

上田:主任、もっと開発部を説得すればよかったと悔やんでいます。自信はありました。だから、納得するまで説明したかった。確かに、部長も、岡村補佐も新しいものには否定的です。それは分かっています。でも、浮島さんや次長も入ってじっくり他社事例などを説明すれば、理解してくれると思うんです。それをすべきだと思います。

浮島:無駄だよ。俺はそんなやり方は意味がないと思う。だから終わらせた。

上田:そういう言い方はないでしょう!意味がないんなら、最初からやらなければよかったんじゃないですか?無責任でしょう!

浮島:……。