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浮島:そうだ。編集長から記事のネタはないかと、いつも聞かれているからな。だから、全然リークではない。

上田:……。

浮島:会社の広報課やブランド室にも事前に話をしていたから、お前が心配することは何もない。

上田:私だけが知らなかったんですか?酷いじゃないですか?

浮島:まあ、上手く記事になるか分からなかったしな……。ところでお前、こんなところに居ていいのか?今頃メールや電話がばんばん来てるんじゃないかな?こういうことには各社敏感だからな。自分は立案しないくせに、共同検討とか、コンソーシアムと聞くと、すぐ手を挙げたがる。

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 上田氏はそれから大変だった。多くの会社からメールや電話で詳しい話を聞かせて欲しいとの問い合わせがあり、対応する必要があったからだ。結局、午前中も午後もその対応に時間をとられたが、その日だけで20社以上のコンソーシアムの参加希望があった。

 そして、最後の電話は社内からだった。改善企画対決の開発部側担当者の米田主任で、開発部の泉下部長から、石黒次長と浮島主任に話があるとのことだった。翌日集まった関係者は、泉下部長、岡村補佐、米田主任、石黒次長、浮島主任、上田主任の6人だった。

岡村:ITコンピュータの記事の件です。どうして勝手にコンソーシアム事務局にうちの会社のそれも企画部の上田主任の名前が書かれているんですか?次長、どういうことですか?

石黒:若い上田が研究したいと強い希望をもっていたので、彼の成長にために許しました。彼の意欲もよいし、うちの品質改善研究のためにもなる。上司としてまったく問題ない、むしろよいこととして、社内調整しました。慎重に検討してあの記事になったんですよ。

岡村:でも、開発部にも事前に連絡が欲しかったですよ。

石黒:広報に相談したら、良い事例なので会社のPRになる、と部長に言われました。しかも、開発部が慎重なのでと言ったら、「それは開発部事案でなく、広報・ブランド事案である」と言われましたので。まあ、そういうことです。