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 事業目標の達成は時々腹が立つ仕事であったが、人事評価は実に悩ましい仕事だった。編集長は編集部員の一次評価者になっており、半期ごとに部員すなわち記者一人ひとりの評価を下す。評価の前と決定後に全員と面談をしなければならない。

 編集長をしていたとき、部下は20人ほどいたから面談をするだけで相当な時間を要した。会議室を事前に抑えておかないまま面談時期に入ると、他の管理職も一斉に面談しているため部屋が無くなる。やむを得ず事務所近くの喫茶店で面談をしたことが何度かあったが不評であった。

 どういう分野の記事を書きたいのか、先々何をしたいのか、記者の活動をするにあたって困っていることはあるか、といった話を記者一人ひとりとするのは苦痛ではなかった。先輩記者としてそれなりの助言ができる。大いに悩むのは評価である。

 評価は先々の昇進昇格に直結するから、大げさではなく編集部員の人生に関わってくる。評価の対象となる期間に20人がそれぞれ書いた記事の出来映えと反響、記事以外の諸活動などを頭に入れて評価を決める。しかも評価の理由を記述しなければならない。これまでに書いたどの原稿よりも書きにくかった。

誰かが管理職を担わなければならない

 こういう管理職の役割が好きだとか得意だとかいう人は、おそらくいるだろうが少数ではないかと思う。編集長をするより自分で原稿を書いているほうが楽しいように、SEマネジャをするより自分で顧客に提案したりシステムを開発したりしているほうが楽しいのではないか。

 しかし事業目標を達成し後輩を育てるために、誰かが管理職の役割を担わないといけない。その場合、たとえ優秀なSEであってもそのまま優秀なSEマネジャになれるとは限らない。「そこで」と書くとかなり強引だが、あえてそうする。「そこで」日経コンピュータと日経BPイノベーションICT研究所は、部下を持つSEマネジャやITリーダーの方に向けて半年間のトレーニングプログラムを企画し、2010年から提供してきた。ちなみに講師の一人は先ほど触れた馬場史郎氏の元部下である。