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部長の発言に困惑する岡村氏

 岡村氏はかなり困惑していた。泉下部長の発言にである。部長があんなことを言うとは思わなかった。いつも部長の判断は明確だ。「現状を変えることは否」で一貫している。しかし、今回の企画部の上田のアイデアは実施したいと言う。

 ただ、部長が上の誰かに合わせたことは考えられることだった。部長は、上の意向を大事にする。上の意向がないとき、はじめて自分の意向を明確にする。今回のケースはこのパターンに合致する。

 「常務か……いや、もっと上か。ひょっとして社長かも」。岡村氏が部長の泉下氏から呼ばれたのは、そんなことを考えていたときだった。

岡村:部長、どういったご用件でしょうか?私もいろいろとお聞きしたいこと、相談したいことがあります。

泉下:……。君も開発部が長いし、そろそろ次を考える時期かと思ってな……。君の異動の話が出ている。後進を育てないとな。そういう意向らしい。

岡村:意向って、誰のですか?

泉下:社長だ。「新しい会社を支える人材を育成するには、若い感性を持った世代をこれまでと違ったやり方で育てるしかない」と言っておられる

岡村:私はふさわしくないということですか?

泉下:そういうことじゃない。より若い世代に可能性を持たせるということだよ。それは米田であり、上田ということだ。

岡村:上田はダメです。あいつの能力では……。

泉下:社長が上田君を指名している。社長はITコンピュータ誌を読んだらしい。電話がかったきたよ。