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「海外(企業)との技術力は、大きく開いている」。情報サービス産業協会(JISA)の國井秀子副会長は、7月初旬の正副会長記者会見で、日本のソフト開発会社の技術レベルの低さを嘆いていた。確かに、國井副会長が指摘するように多くのソフト開発会社が技術者教育にも、研究開発にも費用をさかない。営業利益率5%をやっと稼げる経営体質で、その余裕はないのだろう。

 それでも、顧客の日本企業が世界の競合と戦えたのは、各社がそれぞれ分野での高い技術力や商品開発力、販売力などを持っていたからだろう。以前は、ITを経営に取り込めるかどうかは、大した問題ではなかったともいえる。

 合理化や業務効率化で十分だったからだが、最近、経営状況が悪化する企業が増えつつある。電機業界はその最たるもので、一つは商品開発や物流、販売などの工程にITをうまく活かせなくなっていることに起因していると思う。構造改革や業績向上につながるIT活用を考える人材が、社内外に不足しているからだろう。

 國井副会長によると、今年訪問したテキサス大学(米国)には、コンピュータサイエンス学科などソフト工学関連の学生が約2100人いる。これに対して、日本の大学の場合、ひとつの学科の定員は数十人程度。しかも、米大学のように、ビックデータなど時流に乗った先端技術に関する新しい学科が生まれない。「米国は、優秀な人材がこうした先端技術を学んでおり、先端技術者が育成されている」と、芝浦工業大学大学院MOT教授でもある國井副会長は、大学教育の問題も指摘する。

 東京海上日動火災保険出身の横塚裕志副会長は「日本のサッカーを、ブラジル並みにするようなもの」と、問題の根の深さを指摘する。IPA(情報処理推進機構)が毎年調査しているIT人材白書でも、人材不足を感じているソフト開発会社は数年前から7割から8割もあるが、一向に改善されていない。そのつもりがないのは、質を高めても、経営が安定するわけでもないし、売り上げが増えるわけでもないからだろう。ユーザー企業が、ソフト開発会社の技術力やIT活用力を評価してくれないことにもある。