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混乱を招くネーミング


写真-17

写真-18
 Microsoftはこのネーミングの悪夢について,スタート・メニューのリンクでも同じ轍(てつ)を踏んでいる。[Pictures]のリンク(写真-17)は実際には[All Pictures and Videos]というVirtual Folderを開く(C:\Users\Paul\Picturesではない)。Musicのリンク(写真-18)は「Albums」というVirtual Folderを開く(C:\Users\Paul\Musicではない)。

 ネーミングの混乱にかかわらず,新しいネームスペースは素晴らしいもので,私たちがまだ使っている今のWindowsの制約のあるドライブ文字ベースのファイル・システムをMicrosoftが大胆にも(そして私はこう言ってよければ,もっと前にやっておくべきだったと言いたい)取り除くまでは,私たちが最良のソリューションだ。その理由は平均的なWindowsユーザーはWindows Vistaでドライブ文字について悩まないだろうからである。Virtual FoldersはWindows Vistaをより親しみやすく使えるようにする。大抵の場合は。

 1つ例外なのは,クリーン・インストール後に,ネットワーク共有や外部ハードディスクからデータをコピーし直す場合である。あなたが今Windows Vistaのクリーン・インストールをしたばかりですべての写真と音楽ファイルとそのほかのドキュメントをコピーし直したいと思っているとしよう。あなたは例えば写真を,スタート・メニュー上で[Pictures]をクリックしたときに出る[All Pictures and Videos]というVirtual Folderにはコピーできない。その代わりに「リアルな」Picturesフォルダを開く必要があるのだ。幸いなことにPicturesフォルダへのリンクはAll Pictures and Videosウインドウの中のNavigation Pane(左側にある)の中で見つかる。もちろんAlbums and All Documentsの中にも同じようなリンクがある。


写真-19

写真-20
 Virtual Foldersは素晴らしい概念であり,私が前に書いたように,Windows Vista Beta 1は多数のVirtual Folders(All Videos,Favorite Music,Artistsなど)と一緒に登場する。しかしVirtual Foldersの真の実力は,あなたが独自のものを作れることだ。その核の部分では,Virtual Folderは現実にはあなたがハードディスク上に記録したコンテンツのリストを持っているデータベースに対してクエリーを行った結果を表示しているに過ぎない。どんなデータベース・クエリーをしても,あなたはその結果のリストをある基準に合うように絞り込める。そして,もちろん自分のクエリーを作れるから,つまり自分のVirtual Foldersを作れるわけだ。

コンピュータの周りをナビゲートする


写真-21

写真-22
 スタート・メニューにあるComputerというリンクは,あなたの期待通り,「My Computer(マイコンピュータ)」と同等のVistaの機能である(写真-19)。このウインドウはあなたのPCの各ドライブ上からのビューを提供するもので,あなたのシステムに接続されたあらゆるハードディスク,CD/DVDドライブ,そしてリムーバブル・ストレージ・デバイスをリスト表示する。ほかのシェル・ウインドウの場合と同じく,Computerウインドウは下側にプレビュー・ペイン(右に移動したり隠したりすることもできる)を,Windows XPのアドレス・バーの代わりにブレッドクラム・バーを備える(ブレッドクラムはパンの柔らかい部分という意味)。これは,必要に応じてシェルのネームスペース内をたやすく飛び回れるようにするものだ。不可解なことにいくつかのウインドウはプレビュー・ペインを上に表示し,使えるオプションも違うものが表示されるが整合性はない(写真-20)。


写真-23

写真-24

写真-25
 「Control Panel(コントロール・パネル)」は新しいルック&フィールで大幅に変更されたが,MicrosoftがWindows XPで初めて採用した。そして米Apple Computerが,Mac OS X 10.3で借用した。カテゴリー・ベースで整理された構成(写真-21)はそのままである。Classic Viewの中では,Control Panelは次世代のノート・パソコンとTablet PCで動作するはずのAuxiliary Displayアプレット(外部ディスプレイ)など,いくつかの新しい機能を見せている(写真-22)。新しいProgramsアプレットは,昔の「プログラムの追加と削除」に置き換わり,プログラムの追加,インストール済みのプログラムの表示/削除/更新/そのほかの選択肢のためのフロントエンドを提供する(写真-23)。新たなSolutions to Problemsアプレットは,見た目では将来はHelpより役立つようになるだろうが,今のところはなにもない(写真-24)。そしてWindows Parental Controlsアプレットは将来の機能を示唆するもので,ベータ1では一部の機能だけを提供する(写真-25)。


写真-26
 Vista Beta 1の機能のいくつかは,まだ開発途中だ。例えば,Add Printer Wizardは新しいものだが,Beta 1では今のところそれはBluetoothベースのプリンタしか認識できず,ネットワーク接続されたプリンタは認識しない(写真-26)。そのほかの部分では,例えばMouse settingsのように,ダイアログがWindows XPそのままになっている。

変わるExplorerのビューのスタイル
 かなりドラマティックに変わったのはExplorerの情報の見せ方である。Windows XPでは私たちはWindows Explorerシェルの進化したバージョンを使っており,それは私たちがよく慣れ親しんできたのと同じアドレス・バーとアイコンのセットを備えていた。Windows XPはさらにいくらか議論のあったタスク・ペインも付け加えていた。それはタスク指向の機能を追加するにはかなりうまいやり方だったと思っている。

 そう,Windows VistaのExplorerはやっぱりファイルとフォルダを示すアイコンを表示する。しかしほかのあらゆることが一変した。アドレス・バーはシェルのネームスペースを至極簡単に動きまわれるブレッドクラム・バーに置き換えられている(写真-27)。私が思うに,以前のユーザーはこれなしにどうやって生きてきたのかと不思議に思うはずの機能の1つだ。このブレッドクラム・バーはアドレス・バーのようにたくさん働くが,さらにそれはどこからでもシェルのネームスペースの中に自由に戻って操作できるようにする。


写真-27

 その動作を紹介しよう。あなたはシェルの特定の場所に,例えばC:\Users\Paul\Documentsを開いているとしよう。そこからC:\Users\Administratorに行くためには,Backボタンを2回叩き,それからAdministratorフォルダをダブル・クリックしなくてはいけない。または,アドレス・バーの中にそのテキストを打ち込んでもいい。どちらかを選ぶことになる。Vistaでは,ブレッドクラム・バーの中でUsersの横にある小さな下向きの矢印を選び,次にリストからAdministratorを選ぶだけで必要な操作が終わる(写真-28)。


写真-29
 だが新しいExplorerはアドレス・バーが良くなっただけでおしまいではない。Microsoftはさらに私たちが慣れた標準のメニューも削除し(それは「Classic Menu」を選ぶと使えるが),メニューとツールバーを組み合わせたような新しいバーで置き換えた。典型的なExplorerウインドウ(例えばファイルを表示しているものなど)では,まずOrganizeボタンがあるのが分かるだろう。これはRename,Move,Copy,E-mail,Deleteなどの選択肢を含むメニューをドロップダウンする(写真-29)。次にViewボタンがある。これはアイコンのサイズとスタイルを設定できるようにするものだ(写真-30)(ちょっとしたコツ:選択肢の間を自動的にスクロールさせるにはCtrlを押しながらマウスのスクロール・ホイールを使う。そして,様々なユーザー・インターフェース要素の表示/非表示を切り替えるShow/HideボタンとShareボタンがある。

 典型的なExplorerウインドウは左側にNavigationペインを表示する。このペインは昔のExplorerのツリー・ビューのようなものだがダイナミックなもので,共通に使うシェルのロケーションと,あなたが今表示させているフォルダに関連するシェル・ロケーションを表示する。例えば,あなたがC:\Users\Paul\Documentsを見ているとしたら,All Documents,Authors,Public,そしてそのほか関連するフォルダがそのNavigationペインの中に表示されるはずだ(写真-31)。


写真-32
 ほとんどのExplorerウインドウの一番下はPreviewペインになっている(写真-33)。このペインはどのアイコンが選択されているかによって劇的に変化する。例えばテキスト・ファイルを選択すればキーワードとレーティング,著者,そしてサイズの情報を表示する(写真-32)。音楽ファイルを選ぶとアルバムのタイトル,作成年,レーティング,時間,ジャンル,トラック番号をアルバム・アートの概観つきで表示する(写真-34)。Previewペインはリサイズでき,それによってさらに多くのメタデータの情報を表示できる(写真-35)し,あるいはShow/Hideボタンを選んでShow Preview Pane on Rightを選ぶことで,それをウインドウの右側に置くこともできる(写真-36)。あなたが純粋主義者なら,Previewペインを隠すこともできる。

写真-34

写真-35

写真-36

 Explorerウインドウにはたくさんの作業が施されているが,将来の改めて取り上げることにしよう。釣り文句として書いておくと,Windows VistaのExplorerはリストとオートリスト,バーチャル・フォルダをサポートしており,そういったものはみなWindowsユーザーなら非常に興味を持つものだろうと思う。