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 最近,Exchange Server向けにSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)の導入を考えている会社が私に接触してきた。この会社は「自社の組織にとってSANを導入して意味があるか」を質問してきた。さらに「SANを構成し,調整する最良の方法」を知りたがっていた。私はこの2つの質問への答えに相当するものを,前編と後編に分けて書こうと思う。

FCとiSCSIの2種類のSAN
 ある組織にとってSANが有効かどうかを判断するのは,とても難しいことである。というのは,SANという用語は広い範囲の技術と複雑な問題に及ぶからだ。

 例えば,私が数年前に購入した古い米Dellの「650Fストレージ・エンクロージャ」は,SANだと主張することも可能だ。それはファイバ・チャネル(FC)で接続するもので,私はそれを3ノードのクラスタ用の共有ストレージとして使っていた。しかし,レプリケーション機能や動的負荷分散機能を持たずに,拡張性もあまりなかった。その後,SANという分野はデバイスについて,主に2種類の分野を含むほど大きく広がった。

 「FC SAN」は,SANデバイス同士を接続するために光ファイバまたは銅線を使う。そのSAN上にある各デバイスは,FCのホスト・バス・アダプタ(HBA)を使う必要があり,そしてほとんどのFibre Channel SANは,各ノード間をメッシュ方式で結ぶためにFCスイッチを使う。Fibre Channelのデータ通信速度は1G~4Gビット/秒で,正しく実装されていればノード間の距離を100kmまで伸ばせる。

 「iSCSI SAN」は,SANを実装するために比較的新しい,より低コストな方法である。光ファイバの代わりに,iSCSI SANは通常のネットワーク・ケーブルを使いTCP/IPで接続する。その利点はすごく明快だ。低いコストと高い柔軟性である。FCのHBAとFCスイッチに大金を使う代わりに,低価格なギガビット・イーサネットのHBA(多少の違いはあれども通常のネットワーク・アダプター・カードである)とイーサネット・スイッチを配備できる。さらに,大がかりな装置に頼らず,SANデバイス間の距離を広げることがより簡単にできる。

 どちらの場合でも,SANの主な利点はその柔軟性と性能と,高い可用性とビジネスの継続性である。これらの利点をそれぞれ検討してみよう。

SANのメリットを総括する
 SANの柔軟性は,数多くの物理ディスクを様々な論理的構成に変えられるという事実にある。

 例えば,もし21台のディスクを1つのきょう体に収めている場合,(1)18台のディスクを3つのホット・スペア付きのRAID(独立ディスク冗長アレイ)レベル5に組む,(2)3つのホット・スペア付きの9台のディスクからなるRAID 5を2重化する,(3)1つの巨大なRAID 1+0に組める(スペアをあきらめるのは気が進まないが…)。

 理論上はこういった構成のおかげで,あなたが必要とするだけの数の論理ボリュームの組み合わせを構築できる。あるいは,その上で実行させるアプリケーションに合わせてスピンドル数と各ボリュームのRAIDレベルを設定できる(続編で触れるように,現実には時々こういうことが実現できない場合がある)。

 SANが高い性能を発揮するのは,主に数多くの物理ディスクと大容量キャッシュという2つの要素によるものである。このどちらがより強く影響するのだろうか?それは,SAN上でどんなアプリケーションを使うか,何台のディスクを備えているか,そしてそれらをどう組み合わせるかに依存する。SANの生の性能を見る場合は,SANの構成によって大きな影響を受けることを知っておいてほしい。

 高い可用性とビジネスの継続性の観点から言えば,たとえSANを大きなRAIDとして使うとしても,ホスト同士の間でSAN上のデータを移動できるという恩恵にも預かれる。SANはさらに「Volume Shadow Copy Service(VSS)」を使うにしろ,ベンダー独自の仕組みを使うにしろ,ある時点でのコピーを非常に取りやすくしてくれる。SANのきょう体の間にレプリケーションを追加すれば,さらに冗長性と回復力を強化できる(きっと高いコストがかかるだろうが…)。

 SANはクラスタと結びつけて導入されることも多いが,必ずそうならなければいけないものではない。複数の,クラスタ化されていないメール・サーバーで共有されたSANでも,これまで書いてきたような恩恵がある。クラスタ化する手間は必要ない。SAN自体はかなり複雑なシロモノだ。SANの性能と柔軟性を利用しようという組織が,時に導入をためらう共通の理由である。SANを構築し,提供し,管理するのが面倒なら,SANを使うのは止めたほうがいい。導入前に比べてもっと悪くなるだろう。

 コストも検討すべき要素である。明らかに,特定のソリューションの実際のコストは,その仕様によって変わるが,この能力はみな安くつくものではない。購入と維持にかかるコストはSANがあまり流行しないもう1つの大きな理由である。多くの組織は他の方法に彼らのインフラ向けの投資を回したほうが,より大きなビジネス上の価値を得られると分かるのだ。

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 続編で私は,Exchange Server向けのSANの構成について解説し,あなたが自分を鍛えてSANベンダーとの交渉で,コストの間違いを犯さないようにする必要性について論じたいと思う。