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 先日の記事「Longhorn Serverの本当のすごさとは 」で触れた通り,2005年9月の「Professional Developers Conference(PDC)」は遅れ続けているWindows Vistaが主役になるはずだった。ところが,ショーに飛び入り参加して驚かせたスターは,2007年に出荷予定の「Longhorn Server」(開発コード名)と次期Officeとなる「Office 12」(仮称)だった。

 2006年末のVista登場に合わせて出荷される予定のOffice 12は,Windows VistaとWindows XPでしか動作しない。Windows 2000やWindows 9xでは使えないのだ。ビッグ・ニュースは,Microsoftがこれまでで初めて,このバージョンでOfficeのUI(ユーザー・インターフェース)を劇的に変えつつあることだ。約束通りに,今回はOffice 12を取り上げる。

肥大化する機能
 Officeは従来,一連のメニューとツールバーでたくさんのコマンドを表示していた。問題は,Officeがより複雑になり多くのコマンドを加えたのにつれて,メニューとツールバーによるインターフェースが維持できないのが分かったということだ。Microsoftはこのようなときに,なぜこれが問題なのかを示す面白い数字を出すのが好きだ。MS-DOSベースのアプリケーション「Word」の最初のバージョンは,約100種のコマンドを持っていた。これに対して「Word 2003」は,1500以上のコマンドを内蔵しているという。

 Office 12より前のバージョンでは,Microsoftはこの機能を積極的に見せる様々な試みをした。ユーザーから同社に求められた機能のリストは,Officeがすでに実装しているのにユーザーが見つけられなかった機能でいっぱいだった。実際に,Officeの2つか3つ前のバージョンからは,すでにある機能を新しい方法で提示することに専念していた。これが,Office 2003やOffice XPにスマート・タグやタスク・ペインのような役立つ機能が実装された理由だ。

 Office 12では,そういった成果が含まれ,古いメニューやツールバーは捨て去られている。過去のOfficeのアップデートでしたように不細工なものにするのでなく,Office 12は共通に必要な機能を右上に配置し,革新的なUIですっかり設計し直されている。この変更を可能にするいくつかの新しいUI要素も追加されている。

ツールバーやメニューからの脱却
 第1にそのメニューとツールバーは,各アプリケーションの最上部で動くタブとリボンのシステムでほぼ完璧に置き換えられた。各タブはグループの中に関連する機能を分けて入れ,それぞれは各アプリケーションの最上部で動くツールバー2~3個分の大きさのリボンの中に現れる。

 例えばWord 12では,[Write]タブを選択することから始める。そのタブの下にあるのは[Clipboard(クリップ・ボード)][Font(フォント)][Paragraph(段落)][Quick Formatting(簡易書式)][Proofing(校正)][Find(検索)]——などのリボン・グループである。各グループの中にはもっとも共通に必要とされるコマンドがある。

 例えば[Font]グループはフォント名とサイズ選択,ボールド/イタリック/下線などフォントの書式指定と,そのほかの関連コマンドを含んでいる。そして[Font]は[Write]グループの中で一番よく必要とされるグループなので,そのタブの右下にある。根拠なくリボンの左側の遠くに置かれてはいないのである。かくして,あなたがそのタブを選ぶと,マウス・ポインタがあるすぐそばに表示される。

ツールバーやメニューからの脱却
 このアプローチの,そのほかのたくさんの革新的な側面は,Microsoftがようやくユーザーを少しばかり信頼するようになったということだ。

 昔のOfficeでは,Microsoftは各Officeアプリケーションを,よく似たツールバーとメニュー・コマンドで似たような外観にすることで,ユーザーに対してよりよいサービスをしているのだと考えていた。それは魅力的な理論だったが,ユーザー調査では裏付けられなかった。

 ユーザーはMicrosoftの想定したよりも賢く,それぞれのユニークなアプリケーションが必要とする異なるコマンドをうまく扱えることが分かった。もちろん悲しいことに,いくつかのアプリケーションは,以前のOfficeアプリケーションにUIを似せるという条件のため,かえって使い勝手が悪くなってしまった。とりわけドキュメントをまったく扱わない「Microsoft Office Access」はそうだった。結果的に,AccessのUIはつじつまの合わない乱雑なものになった。それをMicrosoftはAccess 12では修正するつもりのようだ。

 こうしたことが意味しているのは,ゲームのルールが変わったということだ。過去(つまりPDC 2005以前)には,Officeに慣れていた誰もが,オフィス統合ソフトは変わる必要がないと実質的に言っていたのだ。結局,ワープロはワープロであり,テキストを入力する作業は何年経ても実際にはほとんど変化しない。

 しかし,物事を完璧かつ根拠を持って変えるMicrosoftが登場した。Office 12の新しいUIは,実際に使ってみなければ評価を下せない。画面写真と解説だけでは,正しく説明できない。Microsoftは,いつも自社が物事を革新する能力を大げさに言っている。だが,これは同社が素晴らしい仕事をしている領域であり,同社は売り上げの3分の1以上を生む製品にそういうことをリスクのあるやり方で実行しているのである。

もう1つの選択肢StarOffice
 もう1つの選択肢が登場した。米Sun Microsystemsが最近リリースした「StarOffice 8」は検討する価値がある製品だ。このソフトは,無償の「OpenOffice.org」のオフィス・スイートをベースに開発され,5つの中心となるアプリケーション「Base(データベース)」「Calc(表計算)」「Draw(グラフィックス)」「Impress(プレゼンテーション)」「Write(ワープロ)」を含む。そのほとんどは対応するOffice 2003の各製品に,いい具合に対抗でき,高い互換性を提供する。

 それに加えて最大の特徴は,安い価格である。ダウンロード版で69.95ドルだが,業務で使う場合はボリューム・ディスカウントにより1デスクトップ当たり35ドルで入手できる。Microsoft Officeより遙かに安い。さらに,ドキュメントを直接PDF形式で保存する機能を持ち,新しいOpen Documentフォーマットと互換性があるというユニークで将来性のある特徴も備える。StarOffice 8はWindowsとLinuxの両OS上で動作し,見た目はOffice 2003にそっくりだ。

 今のところStarOfficeは完全なものではない。例えばOutlookやOneNote,InfoPathと同等の機能は備えていない。だが,シンプルなニーズを持つオフィス・ユーザーにとって理想的で安価なソリューションである。ユーザーが,もしすべての機能を必要としないのなら,Office 2003を購入する理由はない。

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 最後にOffice 2003ユーザー向けにもう1つの追加情報がある。MicrosoftがOffice 2003 Service Pack 2(SP2)を出荷した。SP2は,目玉となる新機能は追加しないが,その代わりに以前リリースしたホットフィックスとアップデート(メジャー・アップデートだったSP1を含む)をバンドルする。Office 2003 SP2に関してはMicrosoftのWebサイトでより詳細な情報が得られる[該当記事])。