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 かねてからの公約通り,米Microsoftは11月1日,既存のMicrosoft製品をさらに浸透させる方針として,インターネット・ベースのサービス「Windows Live」と「Office Live」を発表した。

 Microsoftが発表した製品とサービスは革命的というより,進歩的なもの。先を見通して動くというより,受けに回ったものといえる。5年ごとに全社で新しい賭けに出ることを誇りを持っている同社にしては率直に言って奇妙な動きといえよう。

 Microsoftの発表内容は次のようなものだ。同社は一般消費者と小規模なビジネス・ユーザーの両方を狙い,一連のインターネット・サービスを「Windows Live」と「Office Live」というブランドの下で提供する。このサービスは,既存のWindows製品とOffice製品を拡張し,連携させるために設計されている。

AJAXを使ったサービスが始まる
 Windows Liveサービスは個人が対象で,以下のサービスを含んでいる。

●Live.com: Windows Liveサービスのコンテンツを集約するWebポータル(現在はベータの形で提供)。RSS(Really Simple Syndication)やAJAX(Asynchronous JavaScript and XML)などの技術を使って設計されており,Live.comは最終的にはリッチで定期的に更新されるユーザー・インターフェースを提供する。

●Windows Live Mail: Outlook風のユーザー・インターフェースを提供する新しいWebメール・サービス(現在はベータ)。以前「Kahuna」という開発コード名で呼ばれ,そもそもHotmailの後継と思われていたもの。既存のHotmailユーザーは,Windows Live Mailサービスが一般向けに提供された時点で,それにスイッチできるようになる。

●Windows Live Messenger: MSN Messengerに代わる新しいインスタント・メッセージング(IM)クライアント。Windows Live Messengerは従来と同様に無償提供される一方で,ドキュメントとフォルダの共有や,PCからPCに電話をかける(PC-to-PC phone)といった新機能をサポートする。

●Windows Live Safety Center: PCに感染するウイルスをスキャンして取り除く無償のWebポータル(該当サイト)。サービスとして提供されるWindows OneCare Liveとは違い, Windows Live Safety Centerはオンデマンドでしか動作しないので,その助けを得るには手動でそのサイトにアクセスする必要がある。Windows Live Safety Centerは現在利用可能である。

●Windows OneCare Live(以前のMSN OneCare): 既に発表されていた個人向けの定期契約サービスで,両方向のファイアウオール,ウイルス対策,スパイウエア対策のソリューション,データ・バックアップなどのサービスを提供する。

●Windows Live Favorites: あなたのInternet Explorer(IE)のお気に入りに設けられたWebベースのストレージ・エリアである。

●Windows Live Mobile Search: Windows Mobileが稼働する携帯電話用に,Webを携帯で検索できるようにするMSN Searchに似た検索サービス。どこに居てもレストランを見つけるなど,場所や情報を探せる。

 Windows Liveサービスの多くは広告で運営され無償提供される予定だ。他のサービスは定期契約ベースになるだろう。

MSNを取り込むMicrosoft本社
 面白いことに,こうした製品の大半は,そもそもMSNによって開発されたもので,最近MicrosoftのWindows部門の中に組み込まれることになった。MSNブランドがこうした製品とサービスから引き剥がされたことは,MSNのファンにとってはもちろん良くないニュースだ。

 私は以前からMSNがWindowsグループに飲み込まれることを懸念していた。今回の話は何が起きつつあるかを明らかに示している。「Windows Live Ideas」Webサイトに行けば,Windows Liveが提供するものを調べたり,いくつかのサービスのベータ版にサインアップしたりできる(該当サイト)。

小規模企業向けに無償サービスを提供
 Office Liveサービスは,従業員数十人以下の小規模な企業を対象にしており,無償提供のサービスと定期契約ベースのサービスがある。

 「Office Live Basics」は,ドメイン名と30Mバイトのオンライン・ストレージ付きのWebサイト,5つまでのWebメール・アカウントを含む,オンライン参入開始キットのようなものを小規模な企業に提供するサービスになる。Office Live Basicsは無料になる予定だが,広告で運営される。

 Microsoftはさらにいくつか他のOffice Liveサービスも2006年から提供する予定で,これらのサービスは対象企業の「プロジェクト管理や営業とそれに伴う作業の管理,顧客管理,支払管理,期日と請求管理といった毎日の仕事と,そして社内外の安全な共同作業」を支援するという。これらのサービスはすべてWindows SharePoint Servicesプラットフォーム上で構築されるので,Microsoftのパートナ企業はカスタマイズできる。

 Office Liveサービス群の提供は,フレンドリでオープンなWindows Liveサービスと鋭く対照的なもので,「招待客のみ(invitation-only)」が相手で,その顧客は2006年初めにベータの形で開始されるサービスが利用できるようになる。ただし,同社はこのベータに参加するための申込書をWebサイト上で提供している。「行儀よくしなさい。常にRedmondに敬意を払っているとよいことがある」と私は聞かされている(該当サイト)。

 これらのサービスで何を作ろうとしているのかを知るのは難しい。これらのサービスには驚くべきものやオリジナルなものはほとんどなく,同社の主力製品に少し依存し過ぎているようだ。いろいろな意味で,GoogleやYahoo!その他のオンライン上の組織がもたらす脅威へのMicrosoftの対応はちょっと気合に欠けている。

 10年ほど前にNetscapeと戦ったように,他者が切り開いた市場で競争するために,Microsoftは圧倒的な力を持つWindowsとOffice製品でてこ入れするだけだ。その場合,もちろんMicrosoftは今日に至るまで法律上の問題で厳しい立場に置かれてきたことをちゃんと理解した。あとは同社が,世界中の様々な規制団体がこうした新しいサービスをどう評価するかを見ているだけである。