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■普段インターネットへアクセスするときに,なにげなく使っているインターネットのドメイン名。この連載では,インターネットのドメインを巡る裏の仕組み,奇妙なエピソード,意外に知られていない常識を紹介していきます。



 もし,新しいWebサイト(ホームページ)を作ろうと考えたとき,どうすればよいだろう。今では,会員のためにWebサイト用のスペースを提供しているプロバイダ(ISP:Internet Service Provider)がある。あるいはYahoo!のジオシティーズやNIFTYのココログといったWebサイトやブログを提供する無料サービスも多い。

 ただ,こうしたサービスを利用すると,あなたのWebサイトの場所(URL:Uniform Resource Locators)を紹介する際に「http://www.biglobe.ne.jp/~moviewatch/」や「http://shinjukureport.cocolog-nifty.com/」のように,常に「サービス提供者」(ISP)の情報が追加されてしまうし,長くなる。個人のWebサイトなら,それでもよいかもしれないが,新たにビジネスを始めようとするのであれば(特にインターネットを活用したいのであれば),このようなURLで済ませるのは好ましくない。

 今や定期的に更新されているブログだけでも100万近く,無料のホームページなども含めると数百万というサイトが運営されているのである(総務省の調査結果)。その中で「あなたのサイト(ビジネス)」を確実に認知してもらうには,より効果的な方法が求められる。

ドメインとは何か

 その有力な手段の一つが,Webサイトにふさわしいドメインを利用することである。ドメインとは,あるWebサイトが属する領域(domain)のことであり,ここで取り上げるドメインとは厳密にはドメイン名(domain name)を指す。上記のURLの場合は「biglobe.ne.jp」や「cocolog-nifty.com」という部分がドメインである(wwwはホスト名であり,/~moviewatch/はディレクトリ名である)。

 例えば,「http://www.moviewatch.jp/」や「http://www.shinjukureport.com/」のように独自のドメインを使うことで,ISPに関係なくWebサイトの場所を表すことができるし,何より覚えやすい。

 インターネットにおけるドメインは,原則として世界共通で使われるものなので,世界中のどこからでも,そのWebサイトにアクセスできる。もちろん,ドメインはビジネスだけのものではない。個人のWebサイトのためにもぜひ独自のドメインを活用することをお勧めする。

 今や,世界中で8290万ものドメインが登録されており(VeriSignのニュースリリース),その数は急激に増えている。この連載では,こうしたドメインの取り方から活用法,ドメインに関連する様々な話題を取り上げていく。

ドメインとホスティング

 ドメインは,世界中のWebサイトから特定の場所(Webサイト)を指し示すために使われるものだ。だが,ドメインそのものは場所を指し示すだけで,そこにある「Webサイト」という実体が用意されるわけではない。Webサイトを作成するためには,Webサーバーと呼ばれるものを用意しなければならない。自分でWebサーバーを用意できる人もいるだろうが,これは面倒な作業だし,インターネットへの常時接続回線や固定IPアドレスなど,環境もそろえる必要がある。

 これを代替するのが,ホスティングというサービスである。日本ではNTTが「ホスティング」という言葉を商標登録しているため,これを避けて「レンタル・サーバー」と呼ばれることも多い。要するにWebサイトの実体を置くために必要なサーバーを貸してくれるサービスである。

 ホスティングには,複数のユーザーで1台のサーバーを利用する「共有ホスティング」と,そのサーバーを1人のユーザーだけが利用する「専用サーバー」という,2つのスタイルがある。ほかにも,少ない人数で共有する代わり,専用サーバー並みの機能を提供する「仮想プライベート・サーバー」というものもある。ホスティング・サービスを利用することで,Webサイトを作成したり,ドメインを利用した電子メールを活用したりできる。

 ホスティング・サービスを利用するためには,自分のドメインをDNS(ドメイン・ネーム・システム)に登録しなければならない。割り当てるべきDNSは,実際には,ホスティング・サービス業者が通知してくる。

意外に安いドメインの維持費用

 ドメインは,レジストラと呼ばれる登録業者を使って登録できる。もちろん「取得費」がかかる。それだけではなく,1年単位で「維持費」も支払わねばならない。維持費を支払わないと,そのドメインは失効し,やがて使えなくなってしまう。

 幸いなことに,最近ではドメインにかかる費用がグッと安くなってきている。日本におけるレジストラの老舗「お名前.com」では,「.com」や「.net」ドメインの登録費が1年当たり3800円からとなっている。これでも安いと感じるかもしれないが,ムームードメインValue-Domainでは,1000円以下である。また,マイクロソフトでは,安価なWindowsホスティングとともにドメインの初期登録費を無料にするというキャンペーンを展開している(マイクロソフトのキャンペーンサイト)。ほんの少し前は,ドメインを安価に登録するには海外の業者を探さなければならなかったのだが,日本人にとってもドメインを使いやすい環境はそろってきているのだ。

 ホスティングについても以前に比べて,安価になってきているのが現状である。無料サービスでWebサイトを作るのもよいが,自分のサイトを広く告知したいのであれば,ドメインとホスティングを大いに活用したい。

電子メールでも便利

 ドメインを使うもう一つの利点が電子メールである。あなたがプロバイダから提供されている電子メール・アカウントを使っているなら,それは「maya_takashi@nifty.com」や「suzukifamily@yahoo.co.jp」のようなものだろう。ドメインを使えば,「info@moviereport.jp」や「admin@shinjukureport.com」というメール・アドレスが使えるようになる。

 重要なのは,この電子メール・アドレスにはプロバイダの名称が入らないということだ。つまり,プロバイダを切り替えても「メール・アドレスが変わりました」といった通知を出す必要はない。ドメインを維持している限り,ずっと同じメール・アドレスを使い続けられる。

 また,ホスティング業者が提供するサービスにもよるが,複数(または事実上無制限)のメール・アドレスを利用できる場合も多い。個人用と仕事用で使い分けたり,家族全員のためのメール・アドレスを用意したり,組織のWebサイトに参加する全員にメール・アドレスを使ってもらうといったこともできるだろう。

よいドメインとは

 ここまでの話を簡単にまとめると,「Webサイトの独自性を確立するために独自ドメインを登録して使う」ということである。独自ドメインを有効に活用するためにも,取得するドメイン名は「よいドメイン」を選ぶことが重要である。

 実際,Webサイトの構築に関する書籍を見ても,「ドメインは早い者勝ち。欲しいドメインがあったら,すぐに登録しよう」と書いてあるものがほとんどで,そこから先に踏み込んだ情報はあまりない。確かにドメイン登録が早い者勝ちなのは事実だが,本当にドメインを活用するという意味では,いかによいドメインを使うかということも重要な要素だ。

 ドメインは,Webサイトのアイデンティティを確立するものである。このためには,覚えやすく,入力ミスの少ないものが望ましい。Yahoo,Google,eBay,Amazonなどインターネットとともに成長してきた企業の多くは,この原則に従っている(そして,どれもドット・コム=「.com」ドメインを使っている)。

 日本でも,rakuten,livedoor,2ch,niftyなど,主要なサイトは覚えやすい名前になっている(それぞれ,rakuten.co.jp,livedoor.com,2ch.net,nifty.comというように,名前の後ろには若干違いがある)。また,古くからあるkakaku.comをはじめ,kabu.com,kekkon.comといった目的を直接表すローマ字ドメインを使っている例も多い。

 ただし,こうした直感的にすぐ理解できるドメインのほとんどは,だれかによって登録されてしまっている。このため,場合によっては,空いているドメインを登録するというだけではなく,登録済みの魅力的なドメインを購入または入手することも避けては通れない。「早い者勝ち」したくなるドメインは,既にだれかが登録済みだからだ。

 そして,現在,この世界はかなりヒート・アップしており,実際にドメインが高額で取引されている。あまり知られていないであろう,こうした話題についても,今後取り上げる予定だ。

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