PR

 米Microsoftは2005年9月,ロサンゼルスで開催されたProfessional Developers Conference(PDC)2005で,次期オフィス統合ソフト「Office 12」(開発コード名)をデモして見せた。その中の「Outlook 12」というOutlookの次期バージョンを少しだけ見せた。Outlook 12の特徴は,SharePointサイトとのより進んだ統合,整理統合されたOutlook オブジェクト・モデル,そして3つの大きなユーザー・インターフェース(UI)の変更が,基調講演やそのほかのセッションで強調された。

膨大なユーザー調査のたまもの
 Microsoftは新しいOffice 12のUIを「results-oriented(結果指向)」と呼び,それは大規模な利便性研究を基にしたものだと言っている。Office User Experienceのグループ・プログラム・マネージャであるJulie Larson-Green氏によると,この研究は何千時間もの利便性に関する調査・研究を行った。また,Office 2003に導入されているユーザーの利用状況を把握するシステム「CEIP(Customer Experience Improvement Program)」(Sue Mosherの解説記事)からのフィードバックも含まれている。CEIPによって,CEIP参加者がどのコマンドをどの順に使ったかを観察できるようにしている。

 Larson-Green氏によると,その結果出来たのが,プルダウン・メニューがなく,代わりにスクリーンの上の細長い部分にコマンドを並べたUIである。「コマンドを探しに行くべき場所は他のどこにもない」とLarson-Green氏は言った。「どこのタスク・ペインのスタックにも何も隠れていない。ツールバー群の中にも何も隠れていない。でも全コマンドがアプリケーションの中にあり,新しい方法で整理されている」。この新しいUIは,文書作成(ドキュメント・オーサリング)作業向けに考えられていて,Word,Excel,PowerPoint,Accessと,Outlookのオーサリング機能,つまりメールの下書きや連絡先などの中に表示されるもので,Outlookのシェルの中ではない」と言う。

 新しいUIに関するファンタスティックな情報源はJensen Harris氏のブログだ。Harris氏はOffice Outlook 2003のUIの再設計を手伝い,Office 12のUIを2年間担当してきた。彼はOfficeがそのオリジナルのプルダウン・メニューで間に合わないほど大きく細かくなった経緯を語っている。彼は「新しいUIのゴールは何を達成するために設計されるか」「新しいUIが普通のシナリオではどう機能するか」などを検討してきたという。具体的には,ユーザーがアプリケーションを小さなウインドウで開いた場合に,どうスケールを合わせるか,といったことを再検討してきた。

 まさに魅惑的なのは,彼がMicrosoftで進行中の利便性研究に与えた洞察である。鏡の向こう側から観察するだけでなく,Microsoftの内と外の両方にいる現実世界のユーザーを巻き込むというものだ。例えば,ある小規模な企業のオーナーは,Office 12からOffice 2000までソフトを替えて, 2カ月間毎日UIチームにその操作感をレポートしたという。Harris氏によるとMicrosoftのデザイン研究者の1人はこれを「Truman Show」テストと呼んでいるという(ジム・キャリー主演の映画にちなむ)。私はその話の詳細を聞くのが待っていられない。

To-Doバーと添付ファイル・プレビュー
 メインのOutlook 12ウインドウは,新しいOffice UIを使わない予定だ。その代わりOutlookだけの2つ新しいUIを持つ。1つ目はTo-Doバーであり,小さなフォルダを見ている時に,スクリーンの右側に表示される。このバーは日付順に並べられた将来の予定とタスクのリストの2つを表示する。PDCの最初の基調講演で,Information Worker Product Management GroupのChris Capossela副社長は,ユーザーがメール・メッセージを右クリックして,それを翌週に割り当てる選択をすると,翌週の分のタスクのTo-Doリスト・バーに自動的にそれが現れる様子をデモした。

 2つ目の新しいUIは,添付ファイルを開かずにインラインでプレビューできることである。これはOutlookユーザーたちが何年間も欲しいと思っていたものだ。Capossela氏はOutlook 12が添付されたPowerPointのプレゼンテーション・ファイルをどのようにプレビューさせるかをデモした。

 他の新しいOutlookの特徴は,(1)Really Simple Syndication(RSS)フィードのサポート,(2)アイテム・リストと表示ペインの両方で検索対象の言葉をハイライト表示するインデックス・サーチ,(3)SharePointドキュメント・フォルダに書き出す能力,(4)Outlookでドキュメントをオフラインで読む機能,(5)InfoPathフォームを電子メールで送る機能——などである。

 開発者向けにはOutlook 12は整理統合されたオブジェクト・モデルを提供する。PDCの講演でMicrosoftのRandy Byrneプログラム・マネージャは,このOutlook Object Modelが鍵のセキュリティ,性能,フォーム設計の問題を片付けるだろうと述べた。さらに,70以上の新しいオブジェクトがあり,既存のオブジェクトも強化されていると語った。

 彼はOutlookの新バージョンは,一般的によくやること,例えば,プログラムに基づいたルールを作るとか,右クリックで表示されるコンテクスト・メニューにコマンドを追加するとか,ユーザーが返送先を選べるようにアドレス・ブックを表示するとか,ユーザーがアイテムやフォルダを削除してしまわないようにする——などができるようになるだろうと言った。

 Microsoftによると,Office 12が限定されたベータ版のリリースの後,2006年後半に出荷されると言っている。Office担当副社長のSteven Sinofsky氏は,PDCの参加者全員が「数カ月以内に」ベータ1を受け取るだろうと語った。