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 米Quantumが2005年10月,DLT4テープ・ドライブをリリースしたことは,中小規模企業(SMB)と部門向けのテープ・バックアップ市場で,面白い競争がまた起きる可能性がある。

 圧縮時320Gバイト(非圧縮時160Gバイト)の容量を持ち,1時間72Gバイトの圧縮転送率が出せるこの新しいドライブは,1000ドル以下の価格が付けられている。Quantumの代表が言うには,この市場での「魔法の価格帯」なのだそうだ。その記録用メディアはギガバイト当たり12セントしかしない。容量と価格は,Quantumの戦略マーケティング・マネージャであるMark O'Malley氏によると,この市場では鍵になる要素だという。

中小規模向けにテープが生き残っている
 ベンダーや顧客たちは,この数年間テープ市場のローエンド分野を誇大評価していた。非常にローエンドのSOHO向けの区分では,ユーザーたちはバックアップ用のテープを急速に捨てて,ディスクに(時には外部USB接続のハード・ドライブに)置き換えていた。事実,Quantumによれば,エントリ・レベルのテープ市場は恐らく年40%もの急激なペースで縮んでいる。2004年はほぼ20万台のエントリ・レベルのユニットを販売したが,2002年の100万台からは激減した。

 SMBの区分におけるテープの減少は,これより穏やかなものだった。調査会社のIDCによると,SMB市場向けに2004年は116万台のドライブが販売された。これらのドライブは,普通はサーバーに直接接続されているか,またはより大規模な組織の一部門の2次バックアップとして使われている。顧客は一般に,基本のバックアップ手段とオフサイトでデータを記録する能力を求めている。多くの場合,今でもリムーバブル・メディアの利用が最もコスト面で効果的な選択肢である。

 こういった設置条件では,QuantumのO'Malley氏によると,データ転送率はほかの場所に比べさほど重要ではないという。企業は大抵の場合,十分なバックアップ期間をとっていて,毎晩データをバックアップするだけで満足している。

 SMBの区分では,長年主に使われてきたテープ・フォーマットであるDAT/Digital Data Storage(DDS)は依然として72%という圧倒的なシェアを押さえている(IDCによる)。DLTは15%のシェアを持ち,ソニーのAITフォーマットは7%を占めている。ExabyteのVXAのようなほかの少数のフォーマットも小さな一片をいまだに押さえている。

次世代が出てこないDAT/DSS
 しかし,QuantumのO'Malley氏はDAT/DDSフォーマットは「ガス切れ」だという。1990年代に発表され,40Gバイトの圧縮ストレージを提供しているDDS4フォーマット・ベースのドライブの売り上げは,2年前に約70万ユニットを売り上げてピークを過ぎた。DDS4の後継であるDAT 72は,72Gバイトの圧縮時容量を持つもので,2003年に登場した。DAT 72の売り上げはまだ伸びているが,多くのアナリストたちは,DAT 72ドライブは50万台より少ない台数で頭打ちになるだろうと見ている。

 DDS/DAT技術への一番よくある批判は,単に十分な容量のテープを,SMBや部門向けの市場に対してさえも提供できない,という点である。DDS/DATは1台の大容量のハード・ドライブをバックアップするために,複数本のテープを使う必要があることがよくある。

 この市場の別な側面も変化している。従来,DATは,ベンダーのコンソーシアムの協力を得たことが,DLTやAITとの差別化した強みだった。これに対するDLTとAITはQuantumとソニーによって支配されたより独自性の強いフォーマットだと見られた。

 ところが,DATコンソーシアムは今やばらばらになっているように見え,HPはDAT/DDSメディアの唯一の製造者として残っている。さらに,次世代のDAT/DDS技術は,4mmから8mmのテープにシフトする必要があり,既存のドライブとの間の下位互換性が損なわれる。どの場合でもより高容量のDAT/DDSドライブは少なくともあと2カ月は登場すると思えない。

 一方,新しいQuantumのDLT4ドライブは,より簡単にバックアップを実行できるようにし,以前はQuantumのミッドレンジのドライブに付属していた管理機能も備えるソフトウエアがバンドルされて販売される。さらに法令順守を心配する企業のために,このドライブはWrite Once,Read Many(WORM)の能力もサポートしている。

 しかし,本当の問題は単にこの新しいQuantumのドライブの技術的な長所が,現在使われているDAT/DDSフォーマットをだしに,このドライブを食い込ませるかどうか,ということだけではない。そういう質問は,次世代のDAT技術が世に出ればすぐに最良の答えが得られるだろう。再び一新されて力をつけた製品との競合が,コスト面でかなり有利なバックアップ・ソリューションとして,テープに関するSMBの関心を再燃させるかもしれない。そして少なくともある程度は,テープからディスク・ベースのバックアップへスイッチしつつある企業の動きを遅らせるかもしれない。