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 バックアップとリカバリの実装は,次の5つの要点に左右されてきた。(1)時間,(2)速度,(3)サイズ,(4)確実性,(5)コスト——である。

 具体的には,バックアップ処理を完了するまでにどのくらいの時間がかかるか,バックアップしたデータをどのくらいの期間保持しなければいけないか,失ったデータをどのくらい早くリストアできるか,どのくらい多くのデータをバックアップしなければならないか,バックアップ処理が成功してデータが実際にリストアするのはどのくらい確実だろうか,そして最後に,どのくらいのコストがかかるか——ということだ。この「CDP(Continuous Data Protection)」の出現は,過去2年間にわたりバックアップとリカバリ用のインフラへの評価と期待をかなり高く引き上げた。

伝統的バックアップ手法の衰退
 Webがビジネス活動に影響を与える以前,大企業は毎日夜中にバックアップをしていた。もっと小規模な企業だと,週1回かそれ以下しかデータをバックアップしなかったものだ。Web運用の必要性と,一群の新しい企業レベル・アプリケーションが出現したとき,この伝統的なバックアップのシナリオは崩壊し始めた。会社は以前より長い時間「営業中」となり,より多くのデータを生成するようになるにつれて,より多くの情報を管理することになった。なのに,バックアップの間隔は短くなり続けた。

 いくつかの会社は,単純に割り当てられた時間内でデータのバックアップができなくなった。さらに,1日1回のバックアップでは不十分と考えられ始めた。バックアップの最中に障害が起きたら,それを失う可能性がある危険を冒して,多すぎるデータが毎日生成されている。

 業界の最初の対応は,「スナップショット」技術を提供することだった。これは米EMCの「TimeFinder」ファミリの登場で広く関心を集め始めた。バックアップを毎日一度で済む作業にする代わりに,大手のストレージ・ベンダーたちは,1日中定期的にスナップショットを取る機能を提供し始めた。データが紛失したり壊れたりした場合,システムは整合性が維持されていた時点までロールバックできた。

バックアップの次のステップ「CDP」
 CDPはストレージが進化する過程の次のステップである。「CDPが1年前に初めて話題になったとき,そのアイデアはスナップショットをもっとたくさん取るということだった」と米KashyaのRick Walsworthマーケティング担当副社長は言う。同社は,OracleとSQL Serverの市場向けにチューンされたCDPのアプライアンス機器をリリースした会社だ。

 ただし,このアプローチには限界がある。複数のスナップショットを取るには,大量のストレージ容量が必要だ。そして,これは高価なことが多い。さらに障害が起きる前に,有効なスナップショットが取れないかもしれない。たとえできていたとしても,障害が発生する前の状態に戻した時点で,スナップショット取得以後に加えたすべての変更を失うことになる。それにデータのスナップショットを非常に早く取ろうとすると,性能の問題を引き起こすかもしれない。

 CDPはスナップショットの先を行くものだ。しかし新しい技術によくあるように,CDPについてはウソとホントが入り交じっている。比較的小規模な会社の多くが,CDPの世界に飛び込んだ。そうした企業のいくつかは,CDPに対する市場が盛り上がりつつあるのを利用して自社の技術を,正確にはそうでない場合であっても,CDPを提供するものと位置付けつつある。

CDPを3つに分類
 CDPは基本的に3種類に分けられる。一番基本的なアプローチは,ブロック・レベルの複製と,ディスク・イメージの変更が起きた時に,その変更をすべてログに記録する機能を提供する方法だ。これはロールバック可能なミラーリングとして説明されてきた。ディレクトリやファイルの情報をストアするのではないので,このタイプのCDPはフル・リストアをするアプリケーションには一番役に立つものだ。

 2種類目は,CDPに対する最もよくあるアプローチで,ファイル・レベルで実施するものだ。このCDPソリューションは,ファイルに対する変更をそれが起きた時に記録する。個々のファイルが,それ以後リストア可能になる。しかし,このファイル・レベルCDPは,データベースのログや操作に関する情報を集めないので,トランザクション・システムを不適切な時点に戻してしまう危険性がある。

 3つ目の一番複雑なアプローチは,「アプリケーションアウェアCDP」と呼ばれるものだ。このタイプのCDP技術はアプリケーションがどう動くかを認識する。特定のI/Oやアプリケーションのイベントにタイムスタンプを付けて,結果的に効果のあるインテリジェントな目印を生成する。もし,データに対して何か悪いことが起きれば,アプリケーションに従ってそのデータが最後に一貫性を保っていた時点までロールバックできる。

 各ベンダーは自社のアプリケーションアウェアなCDP製品にいくつか違ったアプローチを採用している。例えばKashyaは,データの外に置いて書き込み処理をモニターするアプライアンスを提供している。ほかのアプローチは,読み取りと書き込みの両方の処理をモニターする。例えば,米FalconStor SoftwareはソフトウエアだけによるCDPソリューションを提供している。

適用範囲の拡大を期待
 CDPを取り巻く混乱があるにもかかわらず,この技術は多数の人々の関心を引きつけている。米Enterprise Strategy Groupによる最新の調査結果では,回答者の63%がこのコンセプトをよく知っていることを示した。

 現時点でCDPは,電子メールとトランザクショナルなアプリケーションには最適な手法のように思われる。その一方で,継続的にデータを保護するという考えは非常に魅力的なので,ITプロたちがCDPの機能とその技術がどのような恩恵をもたらすかをより深く理解するにつれて,CDPの利用はさらに広がるに違いない。