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文・石井恭子(日立総合計画研究所 社会システムイノベーショングループ 主任研究員)

 近年、地方自治体は、地域経済活性化、安全安心な地域社会の構築などのように、自治体単独では解決し難い課題に直面しています。にもかかわらず財政難の中で質の高い行政サービスを提供しなければなりません。こうした課題を、産官学協力の下にITを利活用することで克服することを目的に、2005年10月4日に全国地域情報化推進協議会が設立されました。

 設立時点で協議会には、全都道府県、全政令指定都市および70市町村のほか、全国町村会、全国市長会、全国知事会といった地方自治体関連団体、民間企業および学識経験者などが参加しています。地域情報化推進協議会に相当する産官学連携組織は都道府県レベルでは存在していますが、この全国協議会はそれらをバックアップする役割を担います。

 協議会は、利便性の高い行政サービスを実現するために、まず各地方自治体内部でバラバラに使われているシステムの連携を図ります。その上で、ほかの地方自治体や民間企業などとのシステムの連携も進めます。

 協議会の事業は、以下の三つに大きく分類することができます。第一は公共ネットワークの構築です。地域の内外を結ぶ公共ネットワークの整備とネットワーク間の相互接続性確保を促進します。第二は、公共ネットワークを活用した公共アプリケーションの展開です。地方自治体だけでなく、ライフライン機関、教育機関、地域企業など、多数の情報システムの連携を可能とするための基盤である地域情報プラットフォームの構築や、防災、医療、教育分野で各自治体が共通に利用できる公共アプリケーションの整備を推進します。併せて、レガシー・システムも見直します。第三は、地域情報化の普及促進です。自治体CIOの育成といった教育を中心とした活動を指します。

 具体的には、地域情報プラットフォームの仕様の管理や改定案をとりまとめる「技術専門委員会」、公共アプリケーションの仕様の管理や改定案をとりまとめる「アプリケーション委員会」、地域情報化を担う人材の育成やノウハウの整理・提供、地域情報化の普及啓発活動を行う「普及促進委員会」の3つの専門委員会が中心となり、これらの事業を推進します。

 このような協議会の意義は、地域情報化や電子自治体の開発効率が上がることにあります。協議会は、住民サービスの向上という最終目標に向かって、地域の情報化を進めるとともに、ITを用いて地方自治体内部の業務の見直しも推進します。また、産官学が協力して標準化された共通のプラットフォームを作り上げれば、民間企業やNPOなどの新規参入が容易となるでしょう。こうした協議会の活動によって、引っ越しの関連手続きのワンストップサービスなど、官民が連携してインターネットを使った利便性の高いサービスがいち早く実現する可能性も高まります。

 しかし、計画の着実な遂行は簡単ではありません。というのも、目指す姿を実現するためには、単に組織間をネットワークで結びつけるだけではなく、法制度を含めたルールの改革や、場合によっては商慣行の見直しを伴わなければならないからです。