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コラム・官民のシステム化状況を比較する

民間と比べ制度の実効性に疑問
“四つの成功の鍵”に学べ

石堂一成(東京コンサルティング代表取締役社長)

 今回実施した自治体のシステム評価と、これまで実施した民間企業のシステム評価(日本経済新聞社と共同で実施)を比較・分析すると、全体として自治体の遅れが目立つ。

 AAAからCCCに至るレベルの分布形態には官民であまり違いはないが、自治体のシステム化は、民間企業と比較すると次の点で見劣りがする。

 まず、体制・ルールは形式的には整えられているが、形骸化している場合が多く見られる。

 CIOの有無・役割レベルでは官民差はない。また、システム化投資の一元的な事前評価は、3分の2の自治体が実施しているが、民間では3分の1にすぎない。だが、そのフォローや総合的ガバナンス(費用対効果の検証、サービスレベルの指標設定、PDCAの管理・改善など)では、自治体は民間の半分以下の実施率となってしまうのである。

 次に、部署間の連携が弱く、情報構造(情報の持ち方、共有の仕方など)、業務構造(フロー、配置、分担など)の整備も遅れている。業務の体系的な抽出・分類、業務の手順、ルール、書式の標準化、データの一元管理などの実施率も民間と比べると低い。

 情報システム自体の利用率も低い。このため、効果が小さくなっている。

 例えば、住民からの電子メールでの問い合わせに対し、レスポンスタイムを規定し、かつ規定が守られているかをフォローしている自治体は25%にすぎない。同じ設問ではないが、民間では69%が、アフターサービスやクレームなどの顧客対応において、システム化により何らかの効果を上げている。

 また、電子申請は、導入している自治体だけで見ると、利用率3%未満が52%、利用率を把握していない自治体が25%を占める。

 本文でも述べられているように、自治体のシステム化施策は、実質的なニーズや利便性よりも、CIO設置や電子申請システムなどの形式的整備に偏りがちといえそうだ。

■成功の鍵は官民で共通

 しかし中には実質的にも民間に負けないレベルの自治体もある。そうした自治体は、民間企業の「四つの成功の鍵」をほぼ同じように達成している。四つの成功の鍵とは以下の通りである。

(1)トップの旗振り
 自治体では、首長がシステム化の大きな効果を認識して、改革の旗を振ることが重要。例えば、選挙のマニフェストで、システム化による効率化とサービス向上を最小投資で実現することを定量的に述べるのも効果的である。

(2)担当者の連携
 改革は、指示待ちで達成されるものではない。現場の創意工夫が必須である。現場職員は、制度の足かせを嘆くのでなく、庁内の有志、他の自治体の職員などと自主的に連携して知恵と力を合わせて、ハードルをクリアすべきだ。

(3)専門的スキルの確保
 中長期的には自前でコアとなる専門的スキルを確保するのが理想。短期的には、民間からの任期付き採用などでカバーする方法も考えられる。

(4)資産管理と業者管理
 民間でも、また筆者がCIO補佐官をしている外務省でも、「システム資産管理台帳」の整備が、ガバナンスの確立の前提として極めて有効である。それを基盤として、システム開発・運用業者の選定・管理を徹底することが成功につながる。

■図9 民間との比較から見る自治体の課題と解決法
民間との比較から見る自治体の課題と解決法

自治体のシステムを格付け、60団体が「AAA」を獲得
結果発表 自治体の情報システムに関する実態調査