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文・石井恭子(日立総合計画研究所社会システムイノベーショングループ 主任研究員)

 政府や自治体では、いわゆるレガシーシステムを含め、さまざまな情報システムを導入してきました。現在は政府も自治体も、電子政府/電子自治体を推進する中で、そうしたシステムを最適化するためにEA(Enterprise Architecture)といった手法を用いて見直しています。しかし、運用によっては、行政部門全体の業務を把握せずに個々の部門で個別のシステムを見直して最適化してしまい、結果として重複や無駄の多いシステムになってしまう恐れがあります。そこで、全体の業務やシステムをあるべき姿に導くために、PMO(Project Management Office。あるいはProgram Management Officeと呼ぶ場合もある)の果たす役割が高くなります。

 PMOとは、ある目的を果たすべく複数のプロジェクトを調整し集中的に管理する組織のことを指します。PMOは、個々のプロジェクトの位置付けを明確にし、優先順位を付けてプロジェクトの遂行を支援します。PMOの機能や役割として決まったものがあるわけではありませんが、一般的には人材育成などの支援機能や個々のプロジェクトの終了や継続の決定権、改善の指示をする権限を持つことが多いようです。米国では、PMI(Project Management Institute)という団体が、プロジェクト管理の手法としてPMBOK(Project Management Body of Knowledge)というガイドラインを発表しています。そのガイドラインに基づいてプロジェクトを管理し、PMOを設置する組織が増えています。ITの分野では、民間企業を中心に大規模システムの構築や、複数の組織をまたがるシステム導入プロジェクトの際に導入を円滑にすることを目的として設立しています。プロジェクトの性質や目指す目的、PMOの果たす役割によって、PMOを組織の内部に設置する場合もあれば、外部に置く場合もあるようです。

 米国ではオレゴン州ミネソタ州ミシガン州といった州政府が、円滑な情報システムの導入を目指し、PMOやPMO支援組織を設置しています。

 日本の官公庁でも、PMOは政府のIT関連事業で導入が進んできており、例えば総務省の自治体EAや共同アウトソーシングなどの事業でPMOを設置しています。自治体EA事業ではPMOは、個別のチームに対して支援、指示、連携をすることになっています。また、共同アウトソーシング事業では、全体統括や要件定義の役割を担っています。政府のIT戦略本部の「新IT改革戦略(案)」でも、「世界一便利で効率的な電子行政」の項目で府省内の情報システム企画、開発、運用、評価等の業務について責任を持って統括する体制として、各府省でPMOを整備することを挙げています。各府省では既に、各府省情報化統括責任者(CIO)の下にCIO補佐官を設置していますが、その役割はプロジェクトに対する支援と助言に留まっていました。各府省におけるPMOの設置と権限の付与により、より弾力的な予算執行や、戦略的な情報システム調達が期待できます。

 PMOの設置は、大規模システムの統合や部門をまたがる業務システムの見直しの時には有効だと言えます。ただ、民間企業では、必要以上に報告書類作成を求めるなど、PMOが過度な管理を招く事例が発生しています。PMOの役割はあくまでも目標に向かって各部門の調整や支援をするというものであることが重要だと言えます。