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ストレージ・デバイスをつなぐためのインタフェース規格には様々な種類がある。代表的なものはATAとSCSIだ。それらには複数世代の規格があるが,大きくパラレル規格とシリアル規格に分類できる。「パラレルATA」,「パラレルSCSI」,「シリアルATA」,そしてシリアルSCSI規格である「SAS」について解説する。

 ストレージ・デバイスをつなぐためのインタフェース規格を表1にまとめた。「パラレルATA」と「シリアルATA」,「パラレルSCSI」と「SAS(Serial Attached SCSI)」は同系統の規格で,それぞれ後者の規格が新しい。パラレルATAとパラレルSCSIは,複数の信号線を使ってビット・データを同時並行で送受信する「パラレル転送方式」を採用している(図1上)。シリアルATAとSASは,1本の信号線(論理的に1本の伝送路)を使ってビット・データを連続して転送する「シリアル転送方式」を採用している(同下)。ストレージ・デバイスを接続するケーブルやコネクタの形状は異なる(写真1)。

表1●ストレージ用のインタフェース規格
表1●ストレージ用のインタフェース規格
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図1●パラレル転送とシリアル転送の違い
図1●パラレル転送とシリアル転送の違い
写真1●ケーブルの違い
写真1●ケーブルの違い
パラレルATA用の幅広なフラット・ケーブル(写真左)とシリアルATA用のケーブル(写真右)

 パラレルからシリアルへの変更は,現行製品との互換性に大きな影響を及ぼす。これまでATAやSCSIの新規格が登場しても,それぞれの規格の中で下位互換性は確保されていた。だが,ATAとシリアルATAの間,SCSIとSASの間には互換性がなくなる。その半面,生い立ちの異なるシリアルATAとSASが,実は部分的に互換性を持つことになる。こうした点を踏まえ,ATAとSCSIの新旧規格の基礎を紹介する。

◆パラレルATA

 ストレージ向けインタフェースの基本として,まずATA(Advanced Technology Attachment)を取り上げる。ATAは,1986年に開発されたPCの内蔵HDD用インタフェース「IDE(Integrated Drive Electronics)」を基に,互換性を高めた規格である。1989年にANSIによって標準化された。

 さらに1998年には,HDD以外の機器との接続規格ATAPI(AT Attachment Packet Interface)と統合し,ATA/ATAPI-4が規格化。後にATA/ATAPI-7となり,データ転送速度133Mバイト/秒の「Ultra ATA/133」でATAの最終形に到達した。ここまで,ATAは一貫してパラレル転送方式を採用してきた。なお,ATAをシリアルATAと対比させる場合に「パラレルATA」と呼ぶこともある。また,シリアルATAを「SATA」,パラレルATAを「PATA」と表記することもある。

 ATAの仕様は,PCの内蔵ストレージ用として規格化されているため,接続台数と接続距離には制限がある。ATAのホスト・コントローラにはプライマリとセカンダリの2本のフラット・ケーブルを接続できる。それぞれのケーブルにつなげるデバイスは最大2台(マスターとスレーブ)なので,一つのコントローラに接続可能なデバイスは最大4台だ。ケーブル長は最長で45.7cm(18インチ)と規定されている。

高速化の限界に達したパラレル転送方式

 ATA規格は順次拡張されてきたが,ATAがパラレル転送方式を採る限り,これ以上の高速化には対応しにくい。パラレル転送方式の問題点は,データ転送速度を高めるにつれて発生しやすくなる「クロストーク」や「スキュー」などである。いずれも,多数の信号線が隣り合う構成のケーブル形状に起因しており,SCSIでも同じ問題が起きる。

 クロストークは,ある信号線から生じた電磁波が隣接する信号線に悪影響を与え,ノイズの発生原因となってしまう現象だ(図2)。クロストークを緩和するために,最新仕様のフラット・ケーブルには信号線と同数のグラウンド線(アース)が含まれているが,その効果も限界に来ている。

図2●クロストーク
図2●クロストーク
パラレル転送において,隣の信号線の影響を受けることがある。ある信号線の波形(上)は本来フラットであるはずだったが,隣の信号線の波形(下)から影響を受けている。下の波形もまた上の乱れた波形の影響を受けて歪みを生じている

 スキューは,送信側から複数の信号線に同時送出された信号が,受信側で別々の時間に到着するときの「時間差」を指す(図3)。ケーブルが長いほどスキューは大きくなり,転送速度が高いほどその影響が大きくなる。スキューが大きくなると,データ転送エラーを引き起こしてしまう。

図3●信号がずれて到着するスキュー
図3●信号がずれて到着するスキュー
フラット・ケーブルを通過する間に信号に遅延が生じ,データ受信側で信号がずれて到着することがある