インターネット・ユーザーがドメイン名を頼りに通信できるのは,すべてのドメイン名が重複のないように管理されているからだ。Part2では,ドメイン名がどのようなコンピュータに付けられているかを確認したあとで,ドメイン名がどのように管理されているかを解説しよう。
インターネット・ユーザーがドメイン名を頼りに通信できるのは,すべてのドメイン名が重複のないように管理されているからだ。
Part2では,ドメイン名がどのようなコンピュータに付けられているかを確認したあとで,ドメイン名がどのように管理されているかを解説しよう。
管理者が割り当てを決定
インターネットに接続している機器はすべて,コンピュータもルーターもIPアドレスを持つ。
一方のドメイン名は,すべてのコンピュータに割り当てられているわけではない。たいていのWebサーバーはドメイン名を持つが,大半のクライアント・パソコンには割り当てられていない。では,どんなコンピュータがドメイン名を持っているのだろうか。
そのカテゴリは大きく三つある。
第一は,ドメイン名利用を前提とするアプリケーションを持つコンピュータ。代表例としては,DNSサーバーとメール・サーバーがある。
第二は,多くの利用者にアクセスしてもらうことを目的とするコンピュータ。こちらの例としては,Webサーバーやファイル・サーバーがある。
第三は,管理者が頻繁にチェックしたいと思うコンピュータ。上記した各種のサーバーに加え,プロキシ・サーバーやファイアウォール,場合によってはルーターにもドメイン名が付く。
いずれにしろ,どのコンピュータにドメイン名を付けるかは,そのネットワークの管理者が決める(図1)。
日本語はドメイン名に使えない
次に,表記ルールを説明しよう。
ドメイン名は,いくつかの文字列をドットで区切った形で表記される。ドットで挟まれた文字列をラベルと呼び,最大63文字である。英字の大文字と小文字は区別しない。
たいていのドメイン名は,組織を識別する名前と,その組織の中のコンピュータ名(ホスト名と呼ぶ)をドットでつないだものである。一番左のラベルがホスト名だ。www.nikkeibp.co.jpを例に取るとnikkeibp.co.jpが組織に割り当てられた名前で,wwwがホスト名である。
ただし,単にドメイン名というと組織名を意味することもある。ホスト名あるいは組織名を省略しないドメイン名は,「完全なドメイン名」(fully qualified domain name)と呼ばれている。
名前管理とサーバー運用が必要
先ほど,nikkeibp.co.jpを「組織に割り当てられた名前」と書いた。nikkeibp.co.jpというドメイン名は,世界的に重複しないことが保証されたうえで,ドメイン名管理組織から割り当てられたものである。これについて説明しよう。
ドメイン名は,世界中で重複しないように割り当てルールが確立されている。具体的には,多数のドメイン名管理組織がそれぞれ責任範囲を決めて名前を管理し,ドメイン名全体における重複を回避している。
この管理はラベル単位で階層的に実施される(図2)。階層はドメイン名の右側ほど上位になる。右から順に,第1レベル・ドメイン,第2レベル・ドメイン--のように呼ぶ。第1レベル・ドメインはトップ・レベル・ドメイン(TLD)と呼ぶことが多いので,ここではこの呼び方を使うことにしよう。
TLDの管理と第2レベル・ドメインの管理は独立に行われており,管理組織が違っていることもある。
どのレベルのドメインであっても,管理組織の任務は三つある。
第一は名前のバッティングを避けること。具体的には,名前の登録・管理をする。第二はそのドメインに関する情報を持つDNS サーバーを運用することだ。この二つの任務が正しく行われている限り,名前の重複を防ぐことができ,ドメイン名からIPアドレスを見つけることができる。
残る任務は,自分のドメインの直下にあるドメイン(サブドメインと呼ぶ)の管理権限を,必要に応じて別の管理組織に委譲すること。これによって,統制の取れた分散管理が実現できる。
さて,以上の基本原則を踏まえて,実際の管理がどのようになされているかを見ていこう。