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CRMシステムが大きく変わりつつある。今までのCRMは営業部門やコールセンターといった「顧客接点」へのシステム導入が中心だった。だがCRMの役割はますます広がり,これからは基幹系システムとの連携が求められる。

 「CRMのブームはもうとっくに過ぎ去った。今さらCRMについて学ぶべきことなんて何もない」,「自分の仕事はシステム運用。CRMは関係ない」――。もし,あなたがCRM(Customer Relationship Management)について,こんな考えを持っているとしたら,改めるべきだ。ITエンジニアにとって,CRMについて理解を深めることは,まさにいま不可欠だからである(図1)。

図1●CRM(Customer Relationship Management)の重要性はますます高まっている。ブームが終わったなどというのは大きな誤解である
図1●CRM(Customer Relationship Management)の重要性はますます高まっている。ブームが終わったなどというのは大きな誤解である

 CRMは一過性のブームだったわけではない。その証拠に,ユーザー企業のCRMシステム構築に対する意欲は依然として衰えていない。

CRMの重要性が増す

 加えて,経営規模の小さい企業にも,CRMシステムに投資すれば,顧客情報を分析し,活用できるという認識がようやく広まってきた。

 だとすれば,たとえあなたの専門がCRMでなく,またこれまでCRM関連のプロジェクトに携わったことがなくても,今後CRM関連プロジェクトに携わり,CRMに関する知識を求められる場面は確実に増えるはずだ。そのためにも,CRMの基本的な考え方やシステムのあり方について理解を深めることが欠かせない。

顧客との関係をITで作る

 CRMの目的は,顧客との良好な関係を保ち,「顧客満足度(Customer Satisfaction)」を向上させることだ。そのために,ユーザー企業が顧客と接する「顧客接点(チャネル)」をシステム化することで,顧客の属性情報や顧客との接触履歴情報を収集・管理し,顧客への最適な対応を実行する。これがCRMシステムの基本的な役割である。

 顧客情報を収集して管理すると,どのようなことが可能になるのだろうか。例えば顧客情報を分析して,小学校に入学する子供を持つ顧客にコールセンターを通じてランドセルや学資保険の案内をするといった,対象を絞った販売活動を展開できる。また顧客に販売促進用のダイレクトメール(DM)を送り,反応率が高い顧客はどのような属性を持つかを調べて,次回以降のキャンペーンに生かすこともできるだろう。

 CRMシステムでは,様々なITを活用してこれらのことを実践する。例えば訪問履歴管理や見込み客情報管理などによって営業担当者の活動を支援する「SFA(Sales Force Automation)」,コールセンターで顧客対応を効率的に行う「CTI(Computer Telephony Integration)」,そしてWebサイトや電子メールを顧客との窓口や顧客獲得に活用するための「eCRM」が代表的なシステムである。

CRMのカバー範囲が広がる

 ユーザー企業はCRMを実践するにあたり,このように個々の販売チャネルに対応したシステムの導入を進めてきた。各チャネルで収集した顧客情報を一元管理し,様々な角度から分析した上で特定顧客への販促や新商品のキャンペーンに役立てている企業も少なくない。

 だが主にマーケティングや販売に焦点を合わせた現状のCRMシステムでは,真に顧客満足度を向上させるためにはまだまだ不十分だ。これからのCRMは,販売プロセスだけではなく,商品企画から設計,開発,資材・部品の調達,営業企画,販売,そして販売後の保守,サポート,修理,リサイクルまでといった,広範な業務プロセスをカバーすることが必要になってきている。CRMのカバーする範囲が企業活動全般に広がっていくのは間違いないだろう(図2)。

図2●CRMがカバーする業務プロセスの拡大
図2●CRMがカバーする業務プロセスの拡大
販売とサポートと中心とする,従来型のCRMではユーザー企業のニーズを捉えられない

 例えば顧客との良好な関係を築く上で極めて重要な「修理サービス」を例にとってみよう。自分を顧客の立場に置き換えてみれば容易に想像がつくが,パソコンや家電などが故障したときの現在のメーカーの対応は,十分に満足できるものとは言えないはずだ。対応が悪いメーカーからは二度と買う気は起こらないもの。これは誰しも身に覚えがあるのではないだろうか。

 修理サービスは,様々なサブプロセスから成り立っている。故障状況の聞き取り,修理品の受付,作業期間の見積もりと回答,そして修理品の返送といったものである。多くの場合,これらの一連のプロセスは今も人手で処理されており,システム化されていない。

 そのため,顧客から作業期間を聞かれても,「1週間程度」など曖昧な答えしかできない場合が多い。その1週間の途中で,修理状況がどうなっているかを顧客がたずねても,明確に答えられる企業は少ない。

 「修理は利益を上げるプロセスではなく,システム化する余力がない」,「他社の多くも,似たような状況にある」といった“いいわけ”は通らない。企業側の対応に不手際があれば,今まで高価な製品を繰り返し購入してくれた「優良顧客」でも,簡単に他社に乗り換えるはずだ。逆に対応が良ければ,初めてその会社の製品を買った人でも,会社に対するイメージが向上し,「またこのメーカーの製品を買っても安心だ」という気になるだろう。