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 NTT、トヨタ自動車、ファナック、パナソニック──。名だたる企業が、東京・文京区にオフィスを構えるスタートアップ企業の門を叩いている。AI(人工知能)を専門とするスタートアップ、Preferred Networks(PFN)である。

 PFNは、自然言語処理を得意するプリファードインフラストラクチャー(PFI)からスピンオフする形で、2014年3月に設立された企業。AIの中でも技術進化が著しいディープラーニング(多段ニューラルネットワークによる機械学習)技術の専門集団である。

 設立以来、日本を代表する大企業と矢継ぎ早に協業関係を結んだ。2014年10月にはNTTと資本・業務提携したほか、トヨタ自動車と自動運転の領域でディープラーニングの応用可能性を探る共同研究を行うと発表した。さらに2015年6月10日には、ディープラーニングの産業用ロボットへの適用でファナックと、先進運転支援システム(ADAS)への適用でパナソニックとの協業を発表した。

 AIのビジネス動向に詳しい東京大学の松尾豊准教授は、PFNについて「日本の大企業にとって、ディープラーニングの領域で協業できるだけのソフトウエア実装力を備えた、ほとんど唯一の国内企業だろう」と評価する。同社は2015年6月9日に、ディープラーニングの独自フレームワーク「Chainer」をオープンソースソフト(OSS)として公開している。

あらゆる産業がディープラーニングの応用先に

 ディープラーニングは他の機械学習手法と比べ、特に画像データの解析で無類の強さを発揮する。車載カメラを使った自動運転から、ロボットのカメラセンサーによる生産工程の改善、店舗内のカメラを使った顧客の動線解析まで、応用範囲は広い。

写真1●PFNの西川徹社長(左)とファナックの稲葉清典専務取締役(右)
写真1●PFNの西川徹社長(左)とファナックの稲葉清典専務取締役(右)
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 PFNの西川徹社長が、数ある協業の中で「インダストリー4.0を超える試み」としてインパクトを強調するのが、ファナックとの共同開発だ(写真1)。西川社長をリーダーに、ディープラーニングを応用した強化学習「深層強化学習」(動画)を手掛ける3人のエンジニアが関わるという。

 深層強化学習は、画像データを含む多様なセンサーデータをもとに、目的の達成に最も適した動作を自ら学習する技術である。

 深層強化学習の応用例には、ビデオゲームで高得点を出せるよう自ら学習する米グーグルの人工知能「Deep Q-Network」や、組み立て作業を学習する米カリフォルニア大学バークレー校開発のロボット(動画)などがある。人工知能の中でも、今一番ホットな研究領域の一つだ。

コラボモデルは日本の状況に最適

 PFNと大企業との相次ぐ協業は、日本では貴重な「ソフトウエア実装力を備えたAI人材」を有効活用する、優れたモデルケースになる可能性がある。