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日本でのニーズは限定的?

 現状のビットコインは課題も抱えている。

 伊藤氏は「インターネットの際は中立の立場で開発に携わる技術者が多かったが、ビットコインでは、その普及によって利害関係を持つ技術者が多い。中立的な立場でアーキテクチャを作る技術者がもっと必要だ」と強調する。伊藤氏自身、中立の立場にあるためにビットコインの関連会社は売却したという。

 ボネー氏は、「現時点で一般消費者の支払い手段としての普及はまだまだだ」と指摘する。キム氏はビットコインの価格変動が依然として大きい点、取り引きが確実に完了するまでに10~60分ほど掛かる点を挙げ、「リアルタイムでの取り引きには使いづらい」と話す。

 消費者が日常的に使うようにならなければ、ビットコインの爆発的普及は望めない。現金、電子マネー、クレジットカードといった現在普及している対面での決済手段に優る強みを見つけ出す作業が今後必要になる。

 ビットコインやブロックチェーンなどの関連技術が、世界中に普及するまでの道のりは平坦ではなさそうだ。一方で、インターネットのような革新を生み出すかもしれない、という期待が世界中に広がっているのも事実だ。

 気になるのは、ビットコインが世界的に大きな潮流となった際、日本が乗り遅れないかである。日本デジタルマネー協会で理事を務める大石哲之氏は、「金融システムが成熟している日本では、“円”への信頼は強い。決済手段も整備されているため、ビットコインへのニーズは直近では限定的だろう」と語る。

 ただし日本でのこうした状況は、多くの先進国でも大きな差はない。ボネー氏は、「銀行が、ブロックチェーン技術を決済や身元確認に適用してコスト削減につなげられないかを検証している」と米国の状況を説明する。大石氏は、「日本はBitcoin 2.0を念頭にして、様々なアプリを作っていくべき」と説明する。

 ビットコインは、ブロックチェーン技術を使った有力なアプリだ。しかし、ブロックチェーン技術を応用する動きは、世界中で広がっている。ビットコインそのものの需要が低いからと、日本の技術者が同分野への関わりを減らしてしまえば、“ガラパゴス”とやゆされる未来を迎えてしまうかもしれない。