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 デジタルガレージは2016年7月、都内で自社主催イベント「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2016 TOKYO」を開催した。最先端のネット技術やそこから生まれるビジネスの課題を議論しあうイベントで、2005年から毎年開いている。

 今年、初日のテーマとして取り上げたのが「ブロックチェーンの真実」。世界中からブロックチェーン関連企業の経営者や技術者が集まり、日本銀行やマネックスグループなど国内金融機関の識者とブロックチェーンの未来を語った。本レポートでは、全3回でその模様を報告する。

MITメディアラボでデジタル通貨イニシアティブ シニアアドバイザーを務めるMichael Casey氏
MITメディアラボでデジタル通貨イニシアティブ シニアアドバイザーを務めるMichael Casey氏
(撮影:新関 雅士)
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 「金融機関はブロックチェーンという解決策を、常に手札の一つとして持っているべきだ」――。MITメディアラボでデジタル通貨イニシアティブ シニアアドバイザーを務めるMichael Casey氏は強調する。ウォールストリートジャーナルのコラムニストから同職に転じたCasey氏は、「ブロックチェーンが世界の金融システムに与えるインパクト」と題して講演。ブロックチェーンが、現在の金融システムが抱える課題を解決できるという見解を示した。

 ブロックチェーンの導入効果としてCasey氏が大きな期待を寄せるのが、金融取引から決済までに掛かる期間の短縮化だ。決済に掛かる日数が約定日の翌日となる場合は「T+1」、2日後の場合は「T+2」と表現される。「証券の種類や市場によって異なるが、米国ではT+2~T+3が標準的」(Casey氏)だという。これだけ時間が掛かるのは、金融の仕組みが複雑で、多数の仲介機関が存在するからだ。

 ブロックチェーンは、こうした既存の仕組みをシンプルにできる可能性がある。結果としてT+0を実現できれば、「とてつもない価値がある」とCasey氏は説明する。

 決済が完了するまでの間、金融機関は該当の資本を使うことができない。もし即時決済が可能になれば、「何兆ドルもの資本を動かせるようになる」(Casey氏)。さらに、決済までの期間中に取引相手が経営破綻して支払いが滞るカウンターパーティリスク、銀行間決済などの不履行が連鎖的に広がるシステミックリスクを防ぐことにもつながる。Casey氏は、「よりダイナミックで堅牢な金融システムを構築できる。金融業界が関心を持つのは当然だ」と語る。