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「Pokémon GO」のゲーム内通貨「ポケコイン」の購入画面
「Pokémon GO」のゲーム内通貨「ポケコイン」の購入画面
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 2016年8月26日付日本経済新聞に『ポケコイン』金融庁が調査 ポケモンGO内で流通」という記事が載った。大人気モバイルアプリ「Pokémon GO」のゲーム内通貨「ポケコイン」が、プリペイドカードや電子マネーなど資金決済法上の「前払式支払手段」に相当するかを調べる目的で、金融庁が運営元の米ナイアンティックにヒアリングを始めた、との内容だ。

 同法の規定では、電子マネーの未使用残高が1000万円を超えていれば、発行事業者は残高の2分の1以上を供託する義務が生じる。銀行と保全契約を結ぶことで代替することもできる。

 以前に問題になったLINEのゲーム内アイテム「宝箱の鍵」などでは、供託不足額は125億円に上ったとされる。ポケコインについても、数十億円単位で供託不足が発生する可能性がある。

 ポケコインは、日本においては「電子マネー」に当たるのか?運営元の米ナイアンティックはどのような義務を負うのか? 弁護士などへの取材を基にQ&A方式でまとめた。

Q1:「ポケコイン」は、資金決済法上の電子マネーに当たるの?

A1:該当するのはほぼ間違いない。

 商品券や電子マネーなどを管轄する資金決済法では、同法の規制対象になる「前払式支払手段」の要件として

  1. 価値を記録している
  2. 対価を得て発行される
  3. 商品・サービス購入のため権利行使できる

 の3つを挙げている。

 例えばWebMoneyなどの電子マネーはこれに当たるし、ゲーム内通貨、例えばパズル&ドラゴンズの「魔法石」、モンスターストライクの「オーブ」も該当する。

 ポケコインも、サーバー上にポケコインの残高を記録している、日本円を対価に購入できる、「ルアーモジュール」「しあわせ タマゴ」といったゲーム中のアイテムを幅広く購入できる点で、3つの要素を全て満たしている。

 さらに、ポケコインという名称や金貨を模したグラフィックからみても、法律上の電子マネーに相当しない要素はゼロ、といっていい。

 一方、LINE POPで問題になった「宝箱の鍵」は、元々はゲーム内通貨「ルビー」で買えるアイテムという位置付けだった。通貨としての機能はルビーと比較して限定的で、名称やグラフィックも、通貨を想起させるものではなかった。だからこそ、前払式支払手段に当たるか、その基準が問題になった。

Q2:では、今のポケGoは法律上の義務に違反しているの?

A2:現時点では、違反しているとは言えない。

 日本資金決済業協会が事業者向けに公開している同法のFAQ(事業者のみなさまからよくあるご質問)によると、電子マネーの未使用残高を算定するのは年2回、「3月末」と「9月末」である。この基準日での残高を参考に、供託金の金額が決まる。

 自ら電子マネーを発行し、自社サービスに使っている発行者(自家発行者)は、この「基準日未使用残高」が基準額(1000万円)を超えたときから2カ月以内に、前払式手段の発行届出書などを、管轄する財務(支)局長等に届け出る必要がある。供託も2カ月以内に行う。

 日本で「Pokémon GO」の配信が始まったのは2016年7月22日なので、残高を算定する基準日は2016年9月末、届け出の期日は2016年11月末になる。このため、現時点で届け出や供託が行われていないことが即、義務違反に当たる、というわけではない。

Q3:もし万が一、2016年11月末までに届け出をしなかった場合、どうなるの?

A3:罰則はある。だが実効性があるかは不明だ。

 自家発行者の届け出をしなかった、あるいは供託をしなかった事業者に対しては、「六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金」という罰則がある。

 ただし、その事業者が海外在住者、あるいは海外法人であった場合は、日本の官公庁(この場合は金融庁)にどれだけ法執行への意志があるか?という問題に帰着することになる。

 海外の事業者が日本法の義務に従わない場合、相手国に法執行の協力を求めることになる。もちろん、「六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金」のためにそこまでやる必要はない、という判断もありえるし、供託金対象が巨額であれば、国内事業者との公平性を考えて法執行の必要あり、という判断もありえる。

 いずれにせよ本件については、2016年11月末までに運営元がどのような対応を取るか、判断を待つほかないところだ。