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図●「特定サービス産業実態調査」におけるソフト産業の都道府県別概況(出所:経済産業省「平成26年特定サービス産業実態調査」)
図●「特定サービス産業実態調査」におけるソフト産業の都道府県別概況(出所:経済産業省「平成26年特定サービス産業実態調査」)
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 経済産業省がサービス産業の実態を明らかにするために例年実施している「特定サービス産業実態調査」。ソフト産業や情報処理産業の実態を都道府県別に比較できることから、参考にしている読者も少なくないだろう。今年も平成26年分の集計結果が発表された。今回は電機産業などの停滞が伝えられる関西地区のIT産業の実力値について、経産省のデータから検証してみたい。

 本調査ではIT産業を日本標準産業分類に照らし、「01 ソフトウェア業(以下、ソフト産業)」「02 情報処理・提供サービス業(同、情報処理産業)」「03 インターネット附随サービス業(同、ネット産業)」の小分類について調べている。順にみていく。

 まずソフト産業である。事業所の数は全国で2万2331個所。このうち関西5府県(京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)は、京都が339個所(全国の1.5%、以下同)、大阪が2160個所(9.7%)、兵庫が559個所(2.5%)、奈良が68個所(0.3%)、和歌山が44個所(0.2%)となった。東京は7252個所で全体の32.5%を占めており、ソフト産業の東京一極集中ぶりがうかがえる。

 従事者数や年間売上高でも、関西5府県の割合は低い。従事者数については京都が5863人(1%)、大阪が5万4398人(9%)、兵庫が1万1306人(1.9%)、奈良が155人(0.0%)、和歌山が545人(0.1%)。年間売上高は、京都が691億円(0.7%)、大阪が8242億円(8%)、兵庫が1484億円(1.4%)、奈良が13億円(0.0%)、和歌山が52億円(0.1%)。

 事業所の数で大阪は全国2位だが、従事者数と年間売上高では神奈川県に抜かれ3位となった。東京をみると従事者数は28万人で46.8%。年間売上高は5兆7072億円で55.4%と半数以上を占める。

 2番目の情報処理産業も状況は大きく変わらない。事業者数、従事者数、年間売上高ともに大阪は2位だが東京に大きく引き離されている。年間売上高は、京都が284億円(0.6%)、大阪が3312億円(7%)、兵庫が243億円(0.5%)、奈良が14億円(0.0%)、和歌山が105億円(0.2%)。大阪について事業所数と従事者数を東京と比べると、事業所数は1298個所(11.7%、東京は28.5%)、従事者数は2万3133人(9.1%、東京は53.1%)となった。

 電子商取引(EC)や検索、SNSなど、比較的地域に縛られずサービスを提供しやすいネット産業についてはどうか。残念ながら関西企業の実力値は、ソフト産業や情報処理産業と大きく変わらない。

 年間売上高は、京都が65億円(0.4%)、大阪が454億円(3.1%)、兵庫が103億円(0.7%)、奈良が3億円(0.0%、和歌山は非公表)となった。大阪の事業所数は303個所(10.1%、東京は38.4%)、従事者数は3326人(6.8%、東京は66%)。事業所や従事員の数の割には売上高が低い実状が浮かび上がってくる。

 データから浮かび上がってくるのは、IT産業の東京一極集中が加速している事実だ。関西が地場のIT企業やユーザー企業にとっては悲観的な数字が並ぶが、ただ必ずしも「地の不利」を悲観している企業ばかりではない。例えば大阪ガス。2006年にデータ分析・活用のための専門部署を社内に設置し、ITの力で業務改革とサービスの品質向上に取り組む。その成果が評価され、東京証券取引所と経済産業省が選定する平成26年度の「攻めのIT経営銘柄」にも選ばれた。

 ITはしょせん道具にすぎない。今、関西など地方にある企業に求められているのは、大阪ガスのように経営の視点に立ち、賢くITを乗りこなす腕前を磨くことだろう。それには、地の不利を覆す新たなビジネスモデルを創出し、収益力も強化できるようなIT人材を育成することが欠かせない。

 大阪ガスの場合、データ分析のための社内教育体制を敷き、グループ内で2014年度までにのべ5000人以上に受講させたという。いかに、若手のうちから経営とITの両方のセンスを高めるチャンスを与えるか。地域のIT産業のもり立て役が1社、また1社と増えていくならば、相乗効果が生まれ東京一極集中の逆風を跳ね返せるに違いない。