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 この章では、日本のコンピュータ産業の栄枯盛衰を扱う。まずコンピュータ関連製品の生産動向と輸出入動向を確認しておこう(図1)。グラフの形は通信機器と似ていて、民生用電子機器には似ていない。

図1●コンピュータ(電子計算機および関連装置)の生産・輸出・輸入の年次推移
図1●コンピュータ(電子計算機および関連装置)の生産・輸出・輸入の年次推移
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 テレビやVTRなどの民生用電子機器と違って、コンピュータ関連製品の輸出は今も昔も大きくない。2000年以後、貿易収支は赤字である。2013年の赤字額は1兆6000億円を超える。

 国内生産も激減している。ピーク(1997年)の6兆6000億円に比べると、2013年の1兆2000億円は5分の1以下である。コンピュータについてもテレビ以上に、日本は作る国から買う国になりつつある。

コンピュータは戦後生まれ

 通信、すなわちICT(情報通信技術)のうちのC(communication)は、19世紀前半に始まっている。これに対してICTのうちのI(information)をコンピュータで代表させるとすれば、Iすなわちコンピュータは20世紀後半に実用化された。

 第2次世界大戦中に、高速計算や暗号解読のための電子計算技術の開発が、各国で進行していた。そのなかから「プログラム内蔵方式(stored program)」と呼ばれる情報処理方式が誕生する。現在のコンピュータはすべて、このプログラム内蔵方式を採用している。

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