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 マツダは1967年に世界で初めてロータリーエンジンを実用化した。「走る歓び」を一貫して追求し、その企業風土は脈々と受け継がれている。2007年には長期ビジョン「サスティナブル Zoom-Zoom宣言」を発表し、走る歓びに加え、優れた環境・安全性能の実現に取り組んでいる。

 環境への配慮から電機・電子技術を活用した電気自動車やハイブリッド車などが登場しているが、パワートレインのベース技術である内燃機関の重要性は変わらない。自動車の内燃機関の効率は今のところ30%にすぎず、残りの70%に改良の余地がある。当社はそこに着目し、理想の燃焼、構造の実現に向けて開発に取り組む。その成果として商品化したのがガソリンエンジン「SKYACTIV-G」とクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」である。

特徴はエンジン圧縮比の高さ、スポーツカーの数値を上回る

マツダ 常務執行役員 グローバル生産・グローバル物流担当 技術本部長 菖蒲田 清孝 氏
マツダ 常務執行役員 グローバル生産・グローバル物流担当 技術本部長 菖蒲田 清孝 氏

 最大の特徴はエンジンの圧縮比の高さにある。通常、ガソリンエンジンは圧縮比10~11で、フェラーリなどのスポーツカーだと圧縮比は12~13に達するが、SKYACTV-Gはそれを上回る14を達成する。この圧縮比の高さによって燃費を大幅に改善できた。SKYACTIVTECHNOLOGYは、2012年発売のSUV(多目的スポーツ車)の「CX-5」から本格的に導入を始め、「アテンザ」や「アクセラ」などの主力車種へと展開してきた。

 SKYACTIV TECHNOLOGYは、高い走行性能と低燃費を両立させるマツダの次世代技術の総称。エンジンのほか、トランスミッション、ボディ、シャシーといった技術が含まれる。このSKYACTIVを開発するため、マツダはモノ造り革新に取り組み、開発・生産を根底から見直した。

 商品競争力を高めようとすると多様性が求められる一方で、大量生産による効率性を追求すると共通化する部分が増える。多様性と共通性はトレードオフの関係にあるが、それを両立するために「一括企画」「コモンアーキテクチャ構想」「フレキシブルライン構想」などに取り組んだ。一括企画は、5年先から10年先の将来を見通して商品を企画すること。コモンアーキテクチャは、例えば排気量の異なるエンジンをそれぞれ異なる構造にせず、大部分を機能Bestの共通構造にして生産効率やコスト抑制も狙う設計上の工夫だ。フレキシブル生産はBest構造に対して生産プロセスを標準化したうえで、無駄を徹底排除し、効率性を高めると同時に、多様性に対応できる柔軟性も兼ね備えたものだ。

 モノ造り革新の取り組みはそれだけではない。以前は生産工程で蓄積する膨大なデータを十分に活用できていなかったという反省に立ち、データの分析・検証を通して顧客価値の改善につながる要素を抽出し、設計や生産に反映する体制を敷いた。

金属素材にバーコード、後工程での加工・組み立てまで管理

 生産ラインでは、部品に加工する金属素材に2次元バーコードを刻印する。固有の識別番号を付与するのは、後の工程でどのような加工が施されたかを一元的に管理するためだ。

 例えば、金属素材をドリルで切削する工程では、利用した工具の種類や使用履歴、切削量や加工面の温度など多岐にわたる製造時の条件を収集する。1つの加工作業が終わるたびに、2次元バーコードをスキャンして識別番号と条件をひも付け、データは随時ネットワーク経由でサーバーに送信して蓄積する。研磨や組み立てなどの工程でも同じような作業をする。エンジン1基で1万種類に及ぶ製造特性データを蓄積しており、1日3000基のエンジンを加工するので、1日3000万件のデータを蓄積する。

 ビッグデータの分析により、部品ごとに最適な製造時の条件を割り出す。ドリルの刃は何回使ったら交換すべきか、素材の出来栄えに合わせてどこまで削るか、といった具合だ。データに基づき加工量をきめ細かく調整する。部品同士の摩擦抵抗などを減らせ、摩擦は無駄な熱を生むため、抑制できれば燃費向上に直結する。商品化したSKYACTIVエンジンでも、従来に比べ平均燃費で30%、燃費のバラツキで25%の改善を達成した。

 モノ造り革新によって蓄積した技術は、今後、次の世代のエンジンに活かす。すでに燃費に影響を及ぼす18個の特性を把握しており、一つひとつについて改善を加えていく。その最終目標は、もちろん顧客価値のさらなる向上にほかならない。

グランプリはマツダのビッグデータ活用

 IT Japan Awardは、日経コンピュータに掲載したIT活用事例の中から優れたものを発掘し、ノウハウを共有するために創設した表彰制度。8回目になるIT Japan Award 2014では2013年5月2日号から2014年4月17日号までの掲載記事を審査した。審査基準は「経営革新・業務改革への貢献度」「システム構築・活用における独創性」「採用技術・手法の先進性」である。今年のグランプリは、ビッグデータ分析により生産現場を革新したマツダが獲得した。

 準グランプリは日本瓦斯と小田急電鉄。日本瓦斯は業務改革の成果を反映したシステムを業界クラウドとして同業他社にも提供し、それによる業務提携や資本提携を目指した点を、小田急電鉄は鉄道や百貨店などグループ各社が持つ多様なデータを集約・分析するシステムを構築し、経営判断に役立てるほか、グループ全体にビッグデータ活用の機運を醸成した点を評価した。

 特別賞の佐渡地域医療連携推進協議会は、地域医療の効率化と品質向上のため医療機関の情報共有に取り組んでいる。医師の負担を増やさないように、使い慣れた機器を活用し実用性の高い仕組みを構築した点が評価を得た。