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 今日のように企業経営とITが密接に結び付いたのは2000年前後のことだ。それを境にITを経営に結び付ける概念が大きく変わった。人がやってきた仕事をどうITに置き換えるか、どう効率を上げるかという生産性向上を念頭に置いた取り組みから、ITによって新たな価値をつくり出すものに関心は移った。

 それに伴い、CIO(最高情報責任者)の役割も変わった。単に情報システムのQCD(品質、価格、納期)の担保という役割から、情報システムを活用してイノベーションの創出を求められるようになった。CIOは予算を委ねられる一方で、ROI(投資利益率)が問われるようになり、CEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)との連携が進んでいる。

 この動きは民間企業だけではなく政府にも広がっている。米国のケースはその好例だ。オバマ大統領は2009年、ホワイトハウスの大統領府行政予算局(OMB)内に政府CIOを設置し、初代CIOにヴィヴェク・クンドラ氏を任命した。日本でも2013年5月、政府CIO法が施行され、首相直轄の政府CIO職が設けられた。

近未来を羅針盤ととらえ、イメージを描き経営をかじ取り

日本ユニシス 最高技術責任者(CTO) 保科 剛 氏
日本ユニシス 最高技術責任者(CTO) 保科 剛 氏

 では、東京オリンピック開催の2020年、さらにその先ではどう変化するのか。近未来を羅針盤としてとらえると、オリンピックに限らず様々なものが視界に入ってくる。一例を挙げれば、圏央道の整備は一段と進み、2016年に北陸新幹線が開業し、その先の2027年にはリニア中央新幹線の開通も予定される。そうなると、これまでとは違う物流や人の往来が生まれる。半面、交通・物流網の整備によって、20~39歳の女性が半分以下に減少し、人口増加が難しい消滅可能性都市を生む懸念もある。

 企業は2020年、さらにその先のイメージをしっかりと描き、経営のかじ取りをしていかなければならない。将来のある時点に基準点を置き、そこから「今、何をなすべきか」を考えるバックキャスティングというアプローチが重要になる。

 もちろん、未来を描くことは決して容易ではない。これまでの延長線上では考えられないパラダイムシフトが起きる可能性があるからだ。ITの歴史を振り返ってみても、そこにはパラダイムシフトがたびたび発生している。例えば、コンピュータ利用の黎明期から長らく続いたメインフレームが主役の時代は、パソコンやオープンシステムの登場によって終焉し、パソコン市場を牽引したマイクロソフトやインテルの登場によりメインフレームベンダーは大きく減少した。

 ルールを変えると従来のやり方は通用せず、パラダイムが変わるとプレーヤーが変わる。マイクロソフトやインテルのような時代の先駆けとなるプレーヤーをファーストムーバーと呼び、1990年代半ばにはアマゾンやグーグルがその役割を担い、新たな枠組みを構築した。ファーストムーバーはそれまで主役だったプレーヤーを蹴散らし、残ったプレーヤーは自分の業態をトランスフォームせざるを得ない。今後も同様のことが起こるだろう。

企業間の共創に個人も参加、エコシステムに発展していく

 2020年とその先を描く際に念頭に置くべきものが3つある。1つ目は、ITを前提とした生活の再設計だ。ITが人やモノ、すべてをつなぐ基礎として存在するようになる。2つ目はコンシューマーイノベーションの進展だ。消費者のエコシステムが変革のドライブになり、企業は消費者を自社のイノベーションに取り込む必要性が生じる。それに関連し、企業間の共創はやがて個人を取り込んだエコシステムに変化していく。これが3つ目のエコシステムの進化だ。

 この観点に立つと、企業が取り組むべきことが見えてくる。それは「業務のクラウド化」にほかならない。当社が関与したさどひまわりネットはその一例だ。新潟県佐渡島内の医療機関・介護施設の約70システムを連携、医療データを一元管理し、島内に点在する様々な医療・介護分野の専門家がクラウド上で仮想的にチームをつくり、共有化された医療データに基づきサービスをリアルタイムに提供できる体制を整えた。

図 Beyond 2020を見据えて、今取り組むべきこと
図 Beyond 2020を見据えて、今取り組むべきこと
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 企業でも同じように、様々なスキルを持った社員がネット上で仮想的にチームをつくり、コラボレーションすることで、これまでにないスピードで新たなビジネス価値を生み出すことができる。将来、パートナーや取引先、さらには個人もリアルタイムに参画していくだろう。日本ユニシスは2020年以降の“Beyond 2020”を見据え、その取り組みに参加していきたい。