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 ゼネラル・エレクトリック(GE)は1878年にトーマス・エジソンが創業し、ダウ平均株価の算出が始まった1896年から今に至るまで継続して構成銘柄に残る唯一の企業だ。現在の時価総額は2711億ドルに達し、社員数は約30万人に上る。日本では100年以上にわたって事業を展開し、約4800人の社員が働いている。130年余りにわたり成長を持続できたのは、わずか9人のCEO(最高経営責任者)による長期的な視点に立ったリーダーシップによるところが大きい。

人材のグローバル化は日本企業も避けられない

日本GE 代表取締役 GEキャピタル 社長兼CEO 安渕 聖司 氏
日本GE 代表取締役 GEキャピタル 社長兼CEO 安渕 聖司 氏

 ビジネスのグローバル化に伴い、日本企業も必然的にグローバルで戦う機会、あるいは企業そのものをグローバル化に向けてチャレンジさせる機会が増えてきた。日本企業も好むと好まざるとにかかわらず人材のグローバル化に対応せざるを得なくなっている。

 世界に出て見知らぬ人と接するときのことを思い出してほしい。自分がどのような人間なのか、どういう考えを持っているのか、を相手に伝えるだろう。グローバルビジネスの世界でも事情は変わらない。

 ミーティングでは、自分の意見を持ち、発言しなければ議論は生まれない。アイデンティティーを発揮できるような考えを常に用意しておき、ミーティングの合間ではビジネスの話ばかりでなく、自分の趣味や興味について話すように心掛けておくべきだ。

 グローバルな舞台で活躍するために必要なことを簡潔な英文にまとめると、Who are you?、What are you interested?、What do you think?、How do you come up with ideas?、Why don't you speak up?の5つになる。

 Who are you?は、揺るぎない軸・価値基準を持つことである。自分の信念に基づいて、人生の優先順位や達成したいことを明確にする。同時に、絶対にやらないことを決めておく。

 What are you interested?は、強い好奇心を持ち、広く学び続けることを示す。何を知っているかよりも、どれだけ早く学べるかが重要になる。

 What do you think?は、自分の頭で考え、自分なりの意見を持ち、それを堂々と披露することを意味する。他人の意見や他人が執筆した記事を鵜呑みにしてはならない。確固たる信念やアイデンティティーがあれば、自分なりの意見があるはずだ。

英語で尻込みしていたら相手に何も伝えられない

 How do you come up with ideas?は、多様性を受け入れ、積極的に活用し、新しいアイデアや考え方を育むことだ。性別や人種を超え、異なる知識・経験や個性を持つ人が集まり、チームをつくる。多様な意見がぶつかり合う場を積極的につくり出し、奨励することが大切だ。

 最後のWhy don't you speak up?は、母国語と英語による積極的でオープンなコミュニケーションを意味する。グローバルな舞台では英語によるコミュニケーションは欠かせない。英会話が得意ではないと尻込みするようでは、相手に何も伝えられない。沈黙はコミュニケーションに参加していないことと同じである。存在すら否定されてしまうことにもなりかねない。

 新たにグローバルビジネスに乗り出すときや、新事業を軌道に乗せるときに成否のカギを握るのは、組織を引っ張っていくリーダーだ。リーダーと聞くと、組織のトップに位置する1人を思い浮かべるだろうが、GEはリーダーが務まる能力をすべての社員に身に付けるように求めている。

 GEの全社員はリーダーシップを身に付けておかなければならない。リーダーシップは肩書ではない。ネスレ日本の高岡浩三社長が著書に記しているように、リーダーシップとは周囲とコミュニケーションを図り、主体的に問題を解決していく力のことだ。

 GEは、リーダーシップを具体化するためにGrowth Valuesという独自の価値観・行動規範を定めている。Growth Valuesは、社内外の有識者を招いて「21世紀のリーダーは何を備えているべきか」を探り、具体的な項目として定義したものだ。

 Growth Valuesは、社員に期待する行動を示すだけではなく、社員の人事評価の指標の1つにもなっている。人事評価は、業務による業績とGrowth Valuesの達成度の2軸によって決めている。この仕組みによって、リーダーシップを発揮できる人材を育成している。

CEOの業務時間の30%は社員の育成と評価に費やす

 リーダーを育成するポイントは3つある。1つ目はチャレンジ&ストレッチである。優秀な人材には一段と難しいこと、一段と高い目標に挑戦させるようにする。得意分野だけで活躍させるのではなく、未経験の仕事を与え、こなすことで社員は成長する。

 2つ目は、自分の頭で考え、意思決定する機会をたくさん与えることだ。そうすることで、判断力や決断力を養える。そして、3つ目は自分を磨き続けること。自分の仕事について周囲からフィードバックしてもらい、自覚する必要がある。部下に「勉強しろ」という前に、自分が勉強する姿勢が大切だ。

 GEは伝統的に人材育成に力を入れてきた。1956年に世界で初めて企業内ビジネススクールのウェルチ研修センターを開設したのはその象徴だ。教育研修プログラムには年間1000億円以上を投資し、現CEOのジェフ・イメルトは社員の育成・評価のために業務時間の30%以上を費やす。こうした人材育成のための一つひとつの積み重ねがGEの成長力と競争力を高めている。