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 ローマ教皇ニコラウス5世が15世紀に設立したバチカン図書館は、バチカン写本をはじめ膨大な数の重要なコレクションを所蔵する。NTTデータは今年3月、バチカン図書館との間で2世紀から20世紀に書き残された約8万2000点の手書き文献のうち3000点をデジタル化する契約を締結した。

 バチカン図書館の蔵書に限らず、人類の歴史を振り返ると、様々な人が知を生み出し、それを保存・共有することで文明は発展した。グーテンベルクによる活版印刷の発明、アルドゥス・マヌティウスによる出版業の立ち上げは特に大きな貢献をした。そして、デジタル化によって知の保存・共有のあり方は大きく変わろうとしている。

 情報の流れはデータ、インフォメーション、インテリジェンスという3つの階層で考えると分かりやすい。データとは世の中で発生する膨大な事実のことだ。これをサンプリングしたり、集計・加工したりすることで、インフォメーションになる。しかし、インフォメーションだけでは、行動に結び付かない。そこに価値観や信念、経験則による厳選・評価というフィルターを通しインテリジェンスに変えることで、情報は価値あるものになる。インテリジェンスは行動を左右し、同じインフォメーションが与えられてもインテリジェンスが異なれば行動も異なる。

あらゆる現象をデジタル化、「万物の可視化」の時代到来

NTTデータ 代表取締役社長 岩本 敏男 氏
NTTデータ 代表取締役社長 岩本 敏男 氏

 ビッグデータの時代を迎え、データをインフォメーションに変える作業はITに委ねるようになってきた。データをためるストレージとデータを運ぶネットワーク、データを計算するCPUの性能の指数関数的な向上により、地球のありとあらゆる現象をデジタル化したデータとして入手できる「万物の可視化」が進む。これまで断片的なデータから推測せざるを得なかったものがビッグデータの活用で事実として認識できるようになる。

 例えば、テレビ放送の視聴率調査。現在、関東地区では約1500万世帯のうち600世帯をサンプル対象として、視聴率を割り出している。これはあくまで統計学に基づいた推計値にすぎない。ビッグデータの活用で、1500世帯すべての視聴状況を推計ではなく、事実として把握できるようになる。

 ビッグデータを使った新しいサービスはすでに生まれている。気象庁は1キロメートル四方のメッシュごとに5分単位で予報する。当社のグループ会社は、そのデータを高速に分析・可視化し、任意の地点の雨量の現状と予測を知らせるクラウド型サービスを提供している。すでに鉄道会社が運行規制や巡回強化の判断材料にするため活用する。

 ITの役割は膨大なデータからインフォメーションを抽出することにとどまらない。今後、インフォメーションをインテリジェンスへと変えていく役割も担うだろう。2013年9月に打ち上げに成功したイプシロンロケットはその先例だ。イプシロンはその1カ月前の8月に打ち上げを中止している。理由は、打ち上げプログラムのシナリオに生じた0.07秒のズレをAI(人工知能)が検知したことにある。人による判断は全くなかった。

 米国では、企業の決算報告書やスポーツの試合結果といった膨大なデータをアルゴリズムで判断し、記事に生成するプロジェクトが進んでいる。これもインフォメーションをインテリジェンスに変える顕著な例だろう。

政策、経済、社会、技術で分析、「近未来のIT社会」を描写

 新たな知の集積ともいえるITのインテリジェンスを受け入れることは、今後、経営戦略を練るうえで武器になる。NTTデータは毎年、インターネットや書籍などから得た膨大な情報を政策、経済、社会、技術の4つの側面から分析し、近未来のIT社会を描くNTT DATA Technology Foresightを発表し、お客様とともに未来の創造を目指している。

図 NTTデータが導き出した4つの情報社会のトレンド
図 NTTデータが導き出した4つの情報社会のトレンド
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 2014年版では、個の影響力拡大が社会の変革を促進する、オープンな共創や連携が加速する、価値の源泉は無形資産の活用へシフトする、持続性の確保と変化への迅速な対応が求められる、という4つの情報社会のトレンドと、人間能力の自然な拡張、人間のモデル化、モバイルセントリック、人工知能による知的処理、など10の技術トレンドを導き出した。お客様の関心も高く、発表してから5カ月で40~50社からお問い合わせがあった。

 CEO(最高経営責任者)は、今後、B/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)を留意するのと同じようにITの動向に神経を注いでおく必要がある。NTTデータはそのお役に立つとともに、お客様と力を合わせて未来社会の創造に尽くしたい。