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 技術革新が加速度を増し、経済構造の変化や世界的な経済力のシフトに拍車をかける。その中で、世界経済での新興国の存在感は日増しに高まる。世界に占める日本のGDP(国内総生産)の割合は2000年に14.5%を占め、中国は日本の3分の1程度にすぎなかった。今では日本とほかのアジア諸国のGDPを足しても中国に追い付かない。

 この世界潮流の中で成長の機会をつかむには、日本企業はどう立ち向かうべきか。PwC(プライスウォーターハウスクーパース)は、毎年、日本を含む世界のCEO(最高経営責任者)の意識調査を実施する。2013年の「第17回世界CEO意識調査」では、世界68カ国のCEO1344人にインタビューを重ね、調査した。

 リーマンショックが2008年に発生してから、日本のCEOは世界全体と比べて弱気の状態が続いていたが、今回の調査でようやく自信を取り戻す結果となった。「非常に自信がある」と「多少自信がある」と回答した割合が84%に達し、世界全体の85%とほぼ同じ水準まで回復した。日銀短観DIもプラスに転じているうえ、消費税増税のマイナス効果も思ったほど表れていない。海外企業へのM&A(合併・買収)件数も増加傾向を示しており、日本企業は確実に守りから攻めの姿勢に転換しつつある。

少子高齢化の打開策として新たな市場への期待が高まる

プライスウォーターハウスクーパース 代表取締役社長 椎名 茂 氏
プライスウォーターハウスクーパース 代表取締役社長 椎名 茂 氏

 自信の回復を後押しするのが新たな市場に対する期待だ。新興国の成長を取り込むだけでなく、国内社会で進む少子高齢化の打開策として海外に目を向ける日本企業が少なくない。成長する主な要因を尋ねたところ、「新たな地域の市場」を回答する日本のCEOは24%に達し、アジア・太平洋の17%、西欧と中国・香港の13%、米国の10%を大きく引き離す。進出先では引き続きアジアを重要視し、中国を筆頭にタイ、インドネシア、ベトナムなどが上位に並ぶ。

 日本のCEOには、成長性が高い市場に軸足を移し、それを企業の成長に取り込もうとする姿勢が際立つ。ビジネスに最も影響を与えると思われるものを3つ挙げてもらったところ、「世界的な経済力のシフト」と回答する日本のCEOは75%と、他国に比べて高い。半面、「技術進歩」を挙げる経営者は65%と、米国の86%、中国・香港の83%、西欧の79%に比べて低い。

 技術はイノベーションの創出に大きな影響を及ぼす。ネットワークに接続する機器は2020年に世界人口の約7倍にあたる500億台に達するとみられる。それによって、イノベーションが起こり、新たなビジネスやサービスが生まれることが期待される。ビッグデータやIoT(インターネット・オブ・シングス)もその表れだ。イノベーションを育む技術に対する姿勢で世界と比べて大きな隔たりがあるのは残念だ。

 技術と並び、イノベーションを創出する要因の1つに人材がある。世界的トレンドを利用するために変化しようとしている分野を尋ねたところ、技術投資と人材戦略で日本は世界全体に比べて低い。「計画を実現する具体策を持っている」と「進行中または完了した」を合計した割合を見ると、技術投資では世界全体の62%に対し日本は44%、人材戦略では世界全体の59%に対し日本は42%にすぎなかった。

技術投資と人材戦略に関する対応
技術投資と人材戦略に関する対応
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カギを握る技術の標準化、ガラパゴス化の防止を

 日本のCEOは日本企業のポテンシャルの高さに目を向けてほしい。日本は世界的にも高い技術力を持ち、取得特許数は世界上位に位置する。技術力を高めるために、技術投資や人材戦略を加速させる必要がある。

 技術力を磨く一方で、技術の標準化にも取り組むべきだ。せっかくの技術がガラパゴス化しては意味がない。開発した技術を業績に結び付けるには、国際標準やデファクトスタンダード(事実上の標準)になる必要がある。世界的な企業連合をつくるほか、M&Aによって巨大市場を素早く押さえることも有効だ。しかし、M&A件数が増加傾向を示しているとはいえ、日本のCEOは欧米に比べ消極的だ。M&Aを計画する日本のCEOの割合は15%と、米国の39%、西欧の29%に比べ圧倒的に低い。

 グローバル競争を勝ち抜くには、持続的なイノベーションによって競争優位を確保する一方で、組織改革とIT投資を通して不足する人材を埋め、スピード感を持って経営基盤を強化していかなければならない。場合によっては、M&Aを活用して時間を買うことも必要になるだろう。PwCは、新たな挑戦をする日本企業のお役に立ち、日本経済の発展に貢献したい。