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 ネット通販市場は2013年度に約15兆円に達し、スーパーストアやコンビニエンスストアを抜いた。これは新興のITビジネスが既存企業の領域を侵食する象徴的な話だが、その一方で大企業を中心とした既存企業が膨大な顧客データや設備などの資産をITと結び付けることで、新たな価値を創造できる破壊的創造を起こしやすくなっている。その条件は何か。アクセンチュアは毎年、ITがビジネスや社会に及ぼす影響を「テクノロジービジョン」にまとめ、2014年版では6つの潮流を指摘した。

 第1の「デジタルとリアルの融合」は、業務プロセスや顧客との接点、商品やサービスなど、リアルに存在する企業活動にITが入り込み、精度や品質、顧客価値などを大きく変えようとする状況を指す。例えば、米建設大手のベクテルは建設現場にITを積極的に採り入れ、経験や勘に頼りがちだった建設現場の仕事を変える。作業工程のデジタル化も進め、センサーを用いてコンクリートの状態を計測し、温度推移などから仕上がりを予測し施工品質の向上にも役立てている。

イノベーションを目指すため企業の枠を超えた知恵を調達

アクセンチュア 代表取締役社長 程 近智 氏
アクセンチュア 代表取締役社長 程 近智 氏

 第2の「ボーダレス・エンタープライズの出現」は、企業の枠を超えて世界中から知恵やスキルを調達してイノベーションを目指す動きのことだ。ソフトウエア技術者が集まって交流するヤフーのハッカソンはその好例だ。課題解決の知恵を競うY! Open Hackathon、震災復興を目的にした石巻Hackathonなどが開催されている。外部の優れたアイデアやスキルを導入することで、サービスの開発力や実現力は高まる。

 第3の「データをビジネスの力に」は、小売りデータから原材料調達のデータ、ソーシャルメディアのデータまでありとあらゆる情報が企業活動を変えつつある現状を示す。すでに消費財メーカーでは、テストマーケティングの反応をソーシャルメディアなどを活用して分析し、市場に関する仮説を構築している。

 製薬業界の研究開発手法ドラッグ・リパーパシングもデータ分析が生んだ新しいビジネスだ。遺伝子データや臨床データ、化合物データなどのデータ分析を活用することで、既存薬の新しい効用を見つけ出し、新薬にしたり新薬開発に結び付けたりする。

 第4の「APIがチャンスを生み出す」は、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を積極的に公開し、外部の企業や個人を巻き込むことだ。アップルは健康管理や住宅・家電関連など4000に及ぶAPIを公開し、iPhoneと連携する商品やサービスを簡単に開発できる環境を用意する。また、物流企業のDHLは物流システムの機能や情報をAPIを介してユーザー企業に公開することで、物流が一段と効率化した。APIをオープンにすることで企業連携は円滑になる。企業のアライアンス戦略にも影響してくるだろう。

アクセンチュアが導き出した6つの潮流
アクセンチュアが導き出した6つの潮流
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地域の様々な課題を視覚化、行政、企業の枠を超えて解決

 第5の「ハードウエア性能で優位を築く」は、コンピュータパワーの重要性を指す。世界的な家庭用品企業のユニリーバは46億レコード、27テラバイトに及ぶ大量の小売りデータを高性能の専用アプライアンスによってデータ分析のリアルタイム性を高めた結果、在庫適正化で優位に立ち、在庫回転率は6.5回という極めて効率的な経営をしている。

 第6の「回復力をデザインする」は、システムダウンが及ぼす悪影響を可能な限り抑えることだ。堅牢性だけでなく、サイバー攻撃も視野に入れておく必要がある。映像ストリーミング配信事業会社のネットフリックスはサービスをダウンさせる攻撃に対処するため、専門チームを社内に置き、サービスがダウンする状況を明らかにしたうえで対策を練っている。

 こうした潮流は企業成長はもちろん、身近な社会の課題の解決にも応用できる。アクセンチュアが横浜市、横浜市立大学とコラボレーションし、市内の地域課題を市民参加型で解決していくLOCAL GOOD YOKOHAMAはその一例だ。市民が直接体験した地域の課題をスマートフォンなどからLOCAL GOODに投稿し、グラフなどに視覚化される。市民の参加を促すだけでなく、課題解決のための出資を募るクラウドファンディング、自分のスキルを活かしたい人をつなぐマッチングの仕組みもある。

 LOCAL GOODは社会の課題解決を目指すとともに、企業や行政機関などの枠を超えて問題意識を共有する人々のつながりを生み出す試みでもある。アクセンチュアはこの仕組みをほかの自治体にも提供することで、社会のお役に立ちたい。