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 社会の様々な場面でのICT活用は、日本に限らず世界的に推進されている。新興国の中には、それを国のビジョンとして明確に示す例もある。今回は、シンガポール政府が打ち出している「Smart Nation」(スマートな国家)について紹介しよう。

 Smart Nationは、人々が暮らしやすい街を作ろうという、シンガポール政府のビジョンである。いわゆるスマートシティと同様の考え方で、それを国レベルに拡大したものと捉えればいいだろう。国土が狭い都市国家のシンガポールだからこそ成り立つ概念と言える。シンガポール政府はビジョンの中でICTの具体的な活用シーンを描くとともに、それを支えるエコシステムづくりにも取り組んでいる。

 初めてビジョンを公にしたのは2013年6月、シンガポールの情報通信開発庁(IDA)が主催するイベント「Infocomm Media Business Exchange(imbX)」。そして2014年の同イベントで、より詳細な取り組みを明らかにした。IDAはシンガポールのICT政策を管轄する組織である。

コアはセンサーネットワーク

 シンガポール政府がSmart Nationとして目指しているのは、国の至る所にセンサーネットワークを張り巡らし、そこから集めたリアルタイムデータを活用して、安全で暮らしやすい国を作ること。そのための人材集めや育成と、産業集積を進めて、シンガポールをアジアの「デジタルの港」(Digital Harbour)とし、シンガポールの経済発展につなげようという考えである。

 元々の目的は異なるが、イメージは、ブラジルのリオデジャネイロ市が取り組んでいる「Intelligent Operation Center」(IOC)に近い面がある。リオデジャネイロのIOCでは、下水、交通状況などのセンシングデータや、エネルギーインフラ、市の施設、イベント、天候などの情報を一元管理する。これらのデータを基に、同市が悩まされてきた洪水や地すべりが、いつ、どこで発生しそうかを予測できる。これにより迅速な対応が可能になった。