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 中東のイスラエルに関する世間の耳目は、現在停戦中のガザの軍事衝突に集まりがちだ。過去にもこうした紛争が繰り返され、非常に憂慮される事態だが、実は紛争前、日本から多くの企業がイスラエルを訪れていた。政府レベルでも産業R&D協力に関する覚書を交わすなど両国は以前にも増して近づきつつある。その背景にあるのが、ITの世界に大きな影響を与えてきたイスラエル発の技術だ。“中東のシリコンバレー”とも呼ばれ、IT系スタートアップを数多く輩出。大手ITベンダーはイノベーションの源泉として、イスラエル発の企業を次々と買収している。こうしたエコシステムを作り上げた同国の実像に迫る。


 トヨタグループでIT分野の研究や調査を担うトヨタIT開発センターは2014年10月23~24日、「クルマ情報 ビッグデータ」を活用するためのハッカソンを開催する(関連記事:トヨタIT開発センターがイスラエルでハッカソン、クルマ情報使いアイデア発掘)。同社 開発・調査部 11G シニアリサーチャーの河野進氏は、「自動車関連企業からは出てこないような新たなアイデアを求める」(同社 )とその目的を説明する。

 ハッカソンの開催自体は何ら珍しいことではない。大企業とて自前で何から何まで取り組むのではなく、外部の力を積極的に取り入れて新たな製品やサービス開発につなげるオープンイノベーションを志向する時代だ。ただ開催地を聞いて多くの人は驚くだろう。日本でも米国でもない。イスラエルなのだ――。

民官学軍を巻き込むエコシステム

 イスラエルは、今やシリコンバレーを擁する米国に次ぐ技術系ベンチャー企業の輩出国である。それを支えるのがベンチャー企業の初期段階となるスタートアップを生み出し、育てるエコシステムだ(図1)。

図1●民間学軍のエコシステムが起業を支える
図1●民間学軍のエコシステムが起業を支える
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 軍の研究機関や大学からの技術の民間移転、政府の金銭的支援、さらには徴兵制の下で優秀な人材を選抜して最先端研究に取り組ませる体制などが相まって、技術レベルの高い人材による起業が促される。さらに弁護士や経営者出身者などからなる手練れのベンチャーキャピタルが出資や助言を与える。