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●段階的納入を検討する

 納期までに開発する全ての機能を完成させるのが難しい場合は、重要度や緊急度に応じて、機能の段階的なリリースを検討するのも有用だ。ここも顧客との交渉ごととなる。

●要員を残業させる

 遅延しているプロジェクトでは、要員が残業を重ねて対応に当たっているケースが大半である。もしここまで紹介した策を実施しても思うようにスケジュールの遅れを挽回できない場合、さらなる残業を要求せざるを得なくなることもあり得る。

 ここで納期をどれだけ重視すべきかを、考慮する必要がある。納期の重要性はプロジェクトによって大きく異なる。法改正やオリンピックへの対応、社運をかけた新製品の発売といった大きなイベントに対応するプロジェクトでは、納期が命であるのは言うまでもない。一方で、納期が守れなくても致命的なダメージとはならないたぐいのプロジェクトも存在する。

 要員のさらなる残業はできる限り避けるべきである。どうしても必要かどうか、必要だとしても最低限の期間ですむよう、十分検討することが大切だ。

●再スケジューリング(納期延長)を顧客に申し入れる

 プロジェクトの再スケジューリングすなわち納期の延期を顧客に申し入れるというのも選択肢の一つだ。当然、開発側の都合だけでは納期を延期できない。原因と対策を明確にしたうえで顧客と交渉し、相手を納得させなければならない。

 ちなみに原因の究明が遅延の回復に役立つとは限らない。だが、説明を受ける側は原因に関する説明を求めるのが普通である。

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 ここまで紹介したプロジェクト遅延の挽回策は、どのプロジェクトにも適用できるわけではない。まして暗闇プロジェクトでは適用が困難なものもあるだろう。

 それでも問題の発生前に、解決策の在庫を豊富にしておくのは大切だ。それによって、少しでも心の余裕をもって対応できるようになるからである。多くの解を準備しておくと、「この問題に対しては、こんな解決策が考えられます」などと発言力を高める効果も期待できる。

本園 明史(もとぞの としふみ)
ITコンサルタント
べき論ばかりで何か起こったらシステム屋に責任を押しつける「口だけコンサル」や、システムを構築するだけで現場での効果や有効活用には全く関心がない「業者ベンダー」に泣かされているユーザーのために日々奮闘中