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 第3回となる今回は、私たちが日常的にITの現場で取り組んでいるさまざまな「プロジェクト」と、企業の経営層がビジネス目的を達成するために立てる「戦略」との関係について掘り下げて考えてみましょう。

 図1は、戦略を実行につなげるためのアプローチとして、私がコンサルティング現場で実践しているプロセスとアウトプットを図示したものです。このプロセスの中で、プロジェクトの立ち上げ時において、最も重要なドキュメントの一つが「プロジェクトチャーター(憲章)」です。

図1●プロジェクト立ち上げ時に最も重要となるドキュメントの一つ「プロジェクトチャーター(憲章)」
図1●プロジェクト立ち上げ時に最も重要となるドキュメントの一つ「プロジェクトチャーター(憲章)」
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 プロジェクトチャーターは、「プロジェクトを組織として公式に認可し、リソース(ヒト・モノ・カネ)を使用することを許可」するために作成されます。プロジェクトチャーターに記述される項目の中でも、最も重要なものが「プロジェクトの目的と目標」です。プロジェクトの目的とは「このプロジェクトは何のためにあるのか?」という問いに答えるものであり、プロジェクトの目標は「どうなれば目的は達成されたといえるのか」というプロジェクトの成功基準です。

 では、このプロジェクトの目的と目標は、どこからやってくるのでしょうか?

 そうです、「戦略」からです。プロジェクトは戦略を実現するための手段であり、背景に戦略のないプロジェクトは存在しません。もし、戦略の裏付けのないプロジェクトがあるとすれば、それは「実行そのものが目的化している」ということであり、やる価値のないプロジェクトということになります。

 経営層から打ち出される戦略とは、企業として「何をするのか」、そして「何をしないのか」を規定するものであり、市場に存在するニーズを満たしたり、クライアントの課題を解決したり、機会を的確に捉えて何かを実現したりするものです。私たちはプロジェクトを実行することにより、この戦略を実現しようとしているのです(図2)。

図2●戦略とプロジェクトの関係
図2●戦略とプロジェクトの関係
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「戦略の翻訳手段」としてのプロジェクトマネジメント

 しかし、厄介なことにこの戦略というものは、そのままでは実行できません。戦略とは方針であり、意図や考え方であって、行動ではないからです。

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