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 前回は日米の視聴者の視聴環境/視聴スタイルについて解説した。今回は映像コンテンツの供給側に視点を移し、デロイトが毎年グローバルで実施している「デジタルメディア利用実態グローバル調査2014」をベースに日米の有料放送市場の違いと米国における映像配信市場の立ち上がりについて解説する。

有料放送ニーズの低い日本市場

 日本と米国で最も大きく異なる環境の違いの一つが有料放送の普及度合いだ。日本では地上波、特に在京キー局の市場でのプレゼンスが非常に高く、視聴者にとってはNHKを除けば「テレビ視聴=無料」が当たり前である。それに対し、ケーブルテレビ事業者や衛星テレビ事業者が強い米国では、多くの家庭が有料でテレビを視聴している。供給側にとって、“映像コンテンツにお金を払う文化”が定着しているか否かは、事業展開する上で非常に大きな違いと言える。

図1●日本の映像コンテンツ産業における無料の地上波放送の影響力は強く、有料放送の未契約率は59%と高い。オーストラリア、イタリアも無料放送が契約の阻害要因になっている
図1●日本の映像コンテンツ産業における無料の地上波放送の影響力は強く、有料放送の未契約率は59%と高い。オーストラリア、イタリアも無料放送が契約の阻害要因になっている
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 日本では実に6割の視聴者が過去に有料放送サービスを利用したことがない(図1)。日本ケーブルテレビ連盟によれば、2014年3月時点でのケーブルテレビの多チャンネルサービスは819万世帯にとどまり、これに同時期のスカパーとWOWOWの視聴世帯数、それぞれ334万世帯と265万世帯(各社IRなど公表値)を合算すると約1420万世帯となるが、これは日本の総世帯数約5200万世帯の4分の1強に過ぎない。しかも、WOWOWを除き、ケーブルテレビとスカパーの契約数は減少もしくは横ばい傾向で、従来型の有料放送市場が今後大きく成長することは考えにくい。

 対照的に米国では9割弱が何らかの有料放送サービスと契約しており、「映像コンテンツは有料」と認知されている様子がうかがえる。また、別の有料放送サービスへの乗り換えを検討している層が一定層存在する半面、一切のサービス加入を止めることを検討している層は非常に少ない割合となっており、有料放送への高いニーズが見える結果となっている。