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 IoT(インターネット・オブ・シングズ)、自動運転、ドローン、ビッグデータ、そしてスマートシティなど、ICT技術の進化が社会やビジネスにもたらす変化がしきりに喧伝(けんでん)される。またAI(人工知能)が発達するとなくなる可能性のある職種のリストなども流布され、誰しもが変化の大きさにワクワク、あるいは不安を覚える昨今である。

 そういう時代に自治体、そして公務員の役割はどう変わるのか。筆者が関わる新潟市、大阪府・市、東京都などでの議論を手がかりに考えてみたい。

モノより人に付けるセンサーに注目

 ざっくり言ってしまうと、IoTというのは、モノや人(動物も)にセンサー(カメラ、マイクなどを含む)が付き、人の代わりにコンピュータが変化を察知して将来を予知し、アクションまで起こすという機能である。

 実用例で有名なのはブルドーザーや業務用エアコンである。客先の機材の稼働状況を常時、無線通信で把握し、稼働時間、温度、振動数などを把握する。異変の予兆を早めに顧客に知らせて、早めの修理や部品交換を勧める。顧客もメーカーも作業効率が上がる。モノに付けるセンサーの公共分野の応用例は、橋の振動測定や公用車である。公用車の場合、カメラを付けておき、路面の傷みを画像で把握し、後で補修するなどの例がある。

 自治体の場合、可能性が大きいのは人に付けるセンサーである。例えば災害時に避難所の医師、職員、ボランティアにセンサーを付ける。何ができる人がどこにいるか所在を把握し、指揮をする。あるいは日常から弱者に位置センサーを付けて保護に役立てる(通学児童、認知症の老人など)。但し、こちらは本人同意とプライバシー保護の問題をクリアする必要がある。

 公共交通(市バス、公営地下鉄など)のデータも使える。天候、行事、時間帯などで人出がどう変わるかICカードを基に把握すれば、ダイヤ編成や混雑緩和に役立つ。さらにこれもプライバシーの問題を処理する必要があるが、駅の雑踏を行き交う人々の動きを画像診断し、犯罪の予兆を見抜くことも可能になる。

 IoTやビッグデータの応用で障害となるのが人にまつわる情報のプライバシーの保護である。だが自治体は公的機関としての信用があり、安全や公益性という正当な目的もある。そして国レベルでやるよりも地域で実験をした方が手っ取り早い。この意味でIoTにおいて企業よりも国よりも自治体は実は優位にある。