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改革は10年で3段階に進化

 この10年間の経過を見ると、首長選挙ごとに改革のレベルが進化した。最初の「改革I期(08~11年)」は橋下知事の誕生に始まり、まずは大阪府庁が自らのあり方を正すこと、すなわち役所の仕事のやり方の改革と財政再建に取り組んだ。ただし、大阪の活力の要となる関西空港の再生と教育改革の2つには早くから着目し、国も巻き込んだ制度改革案や関空伊丹の経営統合を導いた。

 やがて橋下知事は大阪の都市問題は府庁だけでは解けないと考え始める。転機は大阪市との水道事業の統合協議の決裂だった。11年秋のダブル選挙では松井知事と橋下市長のツートップ体制が実現し、「改革第II期(11~15年)」に入る。松井知事と橋下市長がツインエンジンになり、府と市の足並みをそろえ、カジノを含む統合型リゾート(IR)の推進や産業政策などが動き出した。同時に大阪市の地下鉄、府と市の水道、下水、大学などの経営形態の見直しが始まった。

 それが「第III期(15年~18年)」に形となった。例えば地下鉄は18年4月に民営化され、上下水道のコンセッション(運営権の民間委託)や府市の大学統合も決まった。つまり「第III期」の橋下市長時代に設計された民営化改革や統合の案件が吉村市長の時代に入って実現した。

 このようなツートップを中心とする大阪府市の一体感は、対外的にもプラスに作用し、国際博覧会(万博)や20カ国・地域(G20)首脳会議の誘致、そして今後のIR誘致にもつながりつつある。ちなみに、万博やIRで注目したいのは、目先の経済効果よりも大阪の経済を国際経済と直結させる契機としての意義である。大都市大阪の命運はグローバル経済といかにつながるか、にかかっている。G20、万博、IRの3つをホップ・ステップ・ジャンプとして、そして関空をテコに海外の経済成長と大阪のまちをつないでいく。そういう意味の戦略展開の準備が整いつつある。

今後の課題

 しかし、いい循環の定着は簡単でない。次の「改革第IV期(2018年~)」では特に海外からの民間投資の呼び込みが重要となる。世界の経済は“石油と電気”の時代から“シリコンとデータ”の時代に転換しつつある。これにつながる企業と高度人材を内外から呼び込んでくる。そういう高度人材が魅力的に思うまちづくり、そして地元の人材の育成をする。「改革第III期」はインバウンドの観光客に支えられ、大阪の経済は活性化した。しかし「改革第IV期」では海外の先端企業が大阪に投資し、一緒にビジネスをする流れをつくっていく必要がある。さもなければ、各種指標をさらに好転させるのは難しい。