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 小池都政は昨年来、オリンピック会場予算の見直し、卸売市場の移転問題、新年度の予算編成に忙殺されてきた。しかしその他の改革も着々と進みつつある。3月31日、都政改革本部は都庁では9年ぶりの行政改革の方針を示す「2020改革」の概要を明らかにした。

 筆者は特別顧問として同改革の設計に助言をしてきた。2回に分けて解説する。

総量規制の「行革」からの決別

 わが国で「行革」が本格化したのは1980年代だ。ひな型は国鉄改革だった。かつての国鉄では、たとえていうと民間なら2人分の仕事に5人かける「お役所仕事」をはじめ、予算も組織も「贅(ぜい)肉だらけ」だった。そこでトップダウンで総量規制をかけ、各部門の予算を一律のパーセンテージで削減し、職員も採用を抑制した。こうした「行革」の手法は国も自治体も採用し、2000年くらいまでは効き目を発揮した。

 しかし、自治体ではスリム化の余地はもう少ない。特に現場で住民サービスを担う人材の確保が大きな課題だ。仕事のやり方を根底から変えないと仕事が回らない。

 都庁も同じで、いわゆる「身を切る改革」や一律削減は局所的には有効でも、全体には当てはまらない。そもそも行革部門が指示をして全庁一律で同じ手法を展開するという発想が不適切だ。改革課題は行政分野によって大きく異なる。福祉や教育などには先行投資すべきだし、予算も人員も切り詰める一般分野(部局)とは異なる。これからはメリハリを付けるべきだ。

改革プランの3つの柱

 2020改革には3つの柱がある。即ち、「(1)しごと改革」「(2)見える化改革」「(3)仕組み改革」である。

 「しごと改革」は、公務員の仕事の仕方の見直しだ。特に、「ライフワークバランス」は重要だ。職員数の総量規制をやり続けた結果、残業が増えている。無駄な仕事を見直し、ICTも使って手続きも簡素化する。

 国も地方も(民間大手に比べて)公務員はそれほど給料が高くない。職場環境を改善しないと優秀な人材が集まらなくなる。教育や研修にも、もっとお金と時間をかけるべきだ。今後はヒトにもっと投資しないと、行政サービスの質も効率も上がらない。

 しごと改革は運動論にとどまらない。例えば時差出勤を本気で導入するなら、在宅作業を仕事として認める。法制度上、どこまで柔軟にできるのか、人事制度改革を伴う。

 「見える化」は各局の業務の経営分析をし、結果を公開する。各局の情報公開はまだまだ足りない。筆者も各局のヒアリングをしたが、「都民(ユーザー)の視点」「納税者の納得」という切り口からの政策の説明や事業の評価は不十分だと思う。

 都民が満足する、納税者に納得してもらうというのは、どういうことか。事業分析をしながら、職員自身が考え、自ら気づいてもらう。その場合、国内の他自治体だけではなく、企業や海外大都市との比較も大事だろう。

 「仕組み改革」とは、天下りや公務員の採用、キャリアパス、財政シミュレーションなど、人事・財政制度、組織の見直しなどだ。監理団体への権限委譲、報告団体や公益財団法人などの統廃合も含まれる。