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 政府機関でも自治体でもクラウドを利用した行政システムへの移行が進んでいる。2009年~2011年に米国の初代連邦情報統括官(政府CIO)として政府システムのクラウド化を推進し、現在は米セールスフォース・ドットコムでインダストリー 公共部門担当のエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるヴィヴェク・クンドラ氏に、各国での取り組みを踏まえた行政システムのあり方について聞いた。

(聞き手は井出 一仁=日経BPガバメントテクノロジー)

ITベンダーの立場で各国政府の行政システムを広く見渡せるようになって、感じることはありますか。

米セールスフォース・ドットコム エグゼクティブ・バイスプレジデント インダストリー 公共部門担当 ヴィヴェク・クンドラ氏
米セールスフォース・ドットコム エグゼクティブ・バイスプレジデント インダストリー 公共部門担当 ヴィヴェク・クンドラ氏

クンドラ氏 米英独仏日豪、どこの国でも行政機関のシステムは進化しています。高価なメインフレームをベースとしていた基幹業務システムはクラウドへの移行が進み、PCベースの市民向けシステムはFacebook、Twitter、LinkedInなどのソーシャルメディアやモバイル端末に対応するためのシステムに変わりつつあります。しかしながら、まだ大きな問題があります。

 行政以外の分野では、移動でのウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)やリフト(Lyft)、宿泊でのエアービーアンドビー(Airbnb)やホテルトゥナイト(HotelTonight)、金融でのスクエア(Square)やウェルスフロント(Wealthfront)、医療でのミニットクリニック(Minute Clinic)やゾックドック(ZocDoc)のような、いわゆる“ディスラプタ”によって、市民の期待に応える便利なサービスが続々と登場しています。こうしたサービスでは、スマートフォンでつながりソーシャルメディアで情報をシェアする市民が主導権を握ります。

 ところが、市民と自治体とはつながってはいません。市民のスマホには手続きをするためのアプリが載り、自治体には手続きのための書類がありますが、両者の間には大きな溝があります。自治体が市民の期待に応えられず信頼を得られない原因は、1960年代と同じようなシステムを調達しているからです。これからの自治体は、庁舎の行政窓口を通してだけでなく、健康、教育、安全、公共インフラ、各種センサーなど、あらゆる側面で市民とつながることを目指す必要があるでしょう。

市民が何を望んでいるかを知るために、データサイエンスによる分析を活用すべきとも主張していますね。

クンドラ氏 たとえばフィラデルフィア市では、市民のコミュニティを積極的に行政に活用しています。公園に麻薬密売人がいるという通報を集めて分析して警察官の配置に活用したり、市民からの情報提供の件数や内容を分析して除雪車の出動を判断したりしています。