メーカー主導ではチャレンジングな端末は出てこない
現在、大手携帯電話事業者(キャリア)にとって大きな課題となっているのは、端末でキャリアごとの違いを打ち出しにくくなっていることだ。フィーチャーフォン時代からスマホの黎明期にかけては、キャリアが主導して端末を企画・開発しており、それがキャリア間の差異化につながっていた。しかし、近年は企画・開発の主導権がメーカー側に移ってしまい、キャリアはメーカーから提供された端末を、ほぼそのまま販売しているにすぎない状況だ。
一方、開発コストを抑えて売り上げを最大化したいメーカーとしては、いかに“売れる端末”を開発するかに力を注ぐことになる。その結果、表示の美しさやボディーの薄さ、カメラの性能など、ユーザーに分かりやすい点については徹底して追求する半面、2画面スマホのような新規性の高い端末は、売れるかどうか分からないため開発に消極的になってしまう。開発体制の変化や、リスクを避けた堅実な開発戦略によって、どのキャリアで販売されている端末も似通う傾向にあった。
今回ドコモが自らMを企画・開発し、製造のみをメーカーに委託するというフィーチャーフォン時代の開発体制を採った背景には、他のキャリアにはない製品で明確な差異化を図ろうという狙いがあるわけだ。