iモード対応端末が姿を消す理由
スマートフォン時代に移った今も、フィーチャーフォン自体は年配層を中心に根強いニーズがある。それにもかかわらず、iモード対応端末が姿を消すのは一体なぜなのか。そこには、iモードの進化が止まってしまったことが大きく関与している。
詳しくは本連載の過去記事「部品が入手困難に……「折り畳みケータイ」は本当に生産を終えてしまうのか」を参照いただきたいが、iモード対応端末が使用しているOSの進化が止まったことで、それに対応するチップセットなどが生産されなくなり、調達が困難になってきたため、対応端末の開発自体が難しくなってしまったのだ。
フィーチャーフォンがAndroidをベースとしたものにシフトしているのも、Androidに対応するチップセットなどを活用することで、部材を安定的に確保できるためだ。今なおユーザーニーズが高いフィーチャーフォンを作り続けるには、過去の環境と決別する必要があったわけだ。
だが、Androidベースのフィーチャーフォンは、インターネット接続サービスにiモードではなく、スマートフォンと同じ「spモード」を採用している。そのため、メールアドレスこそiモードと同じものが使えるが、iモード上で提供されていたWebコンテンツやアプリは利用できない。
NTTドコモが、Androidフィーチャーフォンに向けて、iモードと同じ環境を提供しなかった理由は、フィーチャーフォンユーザーの利用スタイルが音声通話とメールにほぼ限られるためだ。モバイルでさまざまなコンテンツを利用したいユーザーの多くはすでにスマートフォンに移行している。従って、iモードの仕組み自体をそのままAndroidに移植することは“割に合わない”と判断したのだ。
iモード端末の出荷が終了し、いずれ市場から姿を消すことが決まったことは非常に残念なことだ。だが、あれだけの全盛を誇ったiモードでさえも過去のものとなってしまうほど、携帯電話業界は常に大きな変化の波にさらされ続けているということだ。