どの店舗でも均質に、精度高いコーヒーを提供する
ブルーボトルが技術を積極的に取り入れる根底にあるのは、「店舗が増えていくなかで、どの店舗で誰が入れても、おいしいコーヒーが提供できるように」(井川氏)との考えだ。バリスタの教育をしっかりと施すのに加え、技術を組み合わせることで、バリスタの熟練度やその日の体調によって、提供できるコーヒーの質が変動するのを防ぐ。
新しいドリッパーとペーパーフィルターも、ペーパーフィルターの折り方や湯のそそぎ方によって差が出るのを防げるのが、最大の長所だ。「それなら、コーヒーマシンを開発して導入したらどうかという考え方もあると思うが、人が手で入れることにこだわるのが創業者のジェームス・フリーマン流。店側の作業を便利にするためのものではなく、精度を高めるために技術を使う」(井川氏)。
同社はこうした考えに基づき、日本進出前から、電子はかりやコーヒー濃度計を導入してきた。電子はかり「acaia pearl」(米アカイア製)は、タイマーが付いているのがポイント。コーヒーを抽出する際の湯量に加え、注湯の時間と回数をレシピ通りにすることで、味のブレを抑えられる。ブルーボトルでは、ブレンドごとにコーヒー粉の量、湯量、注湯時間・回数のレシピを持っている。
コーヒー濃度計は、水中に溶けている不純物(この場合はコーヒー)の濃度(TDS:Total Dissolved Solids)を計測するもので、ブルーボトルが採用しているのは、コーヒーに特化した「VST LAB with COFFEE TOOLS」。
コーヒー豆は焙煎してからの日数などで味が変わるため、店舗で保管している焙煎済みの豆を、どれほどの粒度でひくのかは、熟練のバリスタがその日の朝に決めている。その結果、ブルーボトルがターゲットとする味のコーヒー液が抽出できたかどうか、味をみて確かめるだけでなく、この濃度計でも確認する。ブルーボトルでは、どの豆をどの粒度で挽いてどんな濃度になったのか、記録して店舗で参考にするとともに、焙煎拠点にもそのログをフィードバックしている。