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 その後、2000年代後半から現在にかけて、海底ケーブルには年間10億ドル前後の投資が安定的に行われている状況だ。ただ、ここ数年は通信事業者以外のプレイヤーが海底ケーブルの投資主体として登場する回数が増えてきている。

 例えば、日本を含むアジア域内を結ぶ「Asia Pacific Gateway」(APG)には、NTTコミュニケーションズ、China Unicom(中国聯通)、韓国KTなどの通信事業者に加えてFacebookが参画している。また、太平洋を横断する「FASTER」のオーナーには、Googleを筆頭に、KDDI、Singtel、China Mobile(中国移動)、China Telecom(中国電信)が名を連ねている。APGとFASTERのどちらも2016年に稼働を始めたばかりの新しい海底ケーブルだ。2019年に稼働開始予定の「INDIGO-West」にも、やはりTelstraやSingtelなどのリストの中にGoogleも名を連ねている。

 このように、近年は通信事業者に加えてFacebookやGoogleといったコンテンツ事業者で構成されるコンソーシアムによる投資比率が高まってきている。このような投資主体の変化の理由は、国際的に大きな通信容量を必要とする新たな需要家の台頭だ。

 調査会社のTeleGeographyによれば、2012年以降、主にコンテンツ事業大手によるプライベートネットワークのトラフィック成長率が、通信事業者の提供するインターネットバックボーンの成長率を一貫して上回っている。2012〜2016年におけるプライベートネットワークのトラフィックの年平均成長率は70%近くにも達しているのに対し、インターネットバックボーンは30%程度に過ぎない。通信事業者の使用する海底ケーブルの通信容量の割合も、以前は80%程度あったが2016年には約50%に落ち込んだ。その一方でプライベートネットワークがほぼ同じ割合にまで拡大している。

 FacebookやGoogleをはじめとするコンテンツ事業大手は自らのコンテンツを世界中に配信する必要があることから、言わば「地球規模の社内LAN」を構築するために海底ケーブルへの投資姿勢を鮮明にしているわけだ。

コンテンツ事業者の先鋭化した動きを象徴するMAREA

 海底ケーブルを巡るコンテンツ事業大手の動きはこれだけにとどまらず、むしろ先鋭化してきている。その象徴的な事例の一つが冒頭に記したMAREAだ。MAREAはFacebookとMicrosoftの共同プロジェクトであり、従来のような通信事業者が中心となって組織されていたコンソーシアムによるプロジェクトとは一線を画している。MAREAの通信容量は160Tbpsであり、現時点で世界最高を誇る。また、将来的にはアップグレードを施すことにより、容量をさらに拡張することができるよう設計されている。

 FacebookとMicrosoftの狙いはほぼ一致しており、どちらにも動画を含む自社のリッチなコンテンツを遅延なく世界中に配信したいという考えがある。自らのコンテンツの品質を保証する最善の手段は自前のインフラを保有し運営することだ。