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エンジニアに聞く

宮原 徹(みやはら とおる)氏
宮原 徹(みやはら とおる)氏氏 日本オラクルでLinux版Oracleの普及に携わったことから、オープンソース界隈に参画。2001年にびぎねっとを設立し、オープンソースカンファレンスを各地で主催。2006年には日本仮想化技術を設立し、代表取締役社長に就任。仮想化技術の普及を支援している。
(聞き手は北郷 達郎)=日経NETWORK)

 私がお薦めするのは「闘うプログラマー」です。本書で描かれるのは、Windows NTの開発秘話です。最初に刊行されたのが1994年で、2009年に新装版として再刊行されました。もはや「古典」とも言える本書ですが、今でもその内容は古びていません。

 この本を読めば、Windows NTの設計に影響を与えたOS「VAX/VMS」などの歴史的な話を理解できるし、「ドッグフードを食べる」(開発中の製品を業務に使用する)といった開発に関する凄まじい話も伝わってきます。技術的にも結構凄い挑戦をしていて、ユーザーは動かないとか品質に関していろいろ言うけど、ソフトウエアの品質を高める作業が簡単でないとわかります。

 初版が出た当時、私は日本オラクルでWindows NT版のデータベース製品の販売をしていました。ちょうどLinuxが台頭してきたころで、Windows NT版の「Oracle Database」を売りに行くと、Linux版もほしいというユーザーの声を多数聞きました。当時Windows NTは安定運用が難しく、大規模システムには向きませんでした。Windows NTのように、コストを掛けて大規模開発したOSより、リーナス・トーバルズという個人が始め、後に多くの人が参加したLinuxの方がむしろ安定していました。これはなかなか面白い対比だと思います。

 そうした話を聞いて、Linux版Oracle Databaseを出すべきだと米国本社にリクエストするようになりました。そうしたら、もう開発は進んでいて、米国本社からLinux版を出すという話が来ました。こうして私はオープンソースの世界に入りました。