米Brave Software社は2016年1月20日、新たなWebブラウザー「Brave」のベータテストを開始した。広告ブロック機能を標準で備えるOSSブラウザーだ。代わりに安全な広告を表示し、収益をサイト運営者にも分配するユニークな事業形態を予定する。公開中のソースコードをビルドしてテストした。
Brave Software社は、JavaScriptの開発者で、米Mozilla財団で以前CTOやCEOを務めていたBrendan Eich氏が2015年に設立した。今回の新たなWebブラウザー「Brave」が最初の製品になる。
Braveの最大の特徴は、広告ブロック機能を標準で備えていることだ。バナー広告が表示されないのはもちろん、Cookieなどを利用してユーザーの行動をトラッキングする行為も遮断する。これらの広告関連データをブロックすることで、Webサイトの読み込みが約60%速くなるという(図1)。
広告ブロック機能自体は、ChromeやFirefoxでも「AdBlock」などの拡張機能を組み込めば利用でき、それほど珍しくはない。Braveが独特なのは、新たな広告表示のビジネスモデルを生み出そうとしていることだ。
次の開発版(バージョン0.8)から、Braveには「代替広告(Placeholder Ads)」機能が追加される。標準的なサイズの広告スペースに、それほど読み込み速度を犠牲とせず、安全で有益な広告だけが掲載されるという。
だからといって、既存のWebサイトの広告枠をBrave Software社が単に横取りするわけではない。同社は、この代替広告での収益の半分以上を、元のWebサイトの運営者に還元するという。また、ブラウザーの利用ユーザーにも収益の一部をビットコインなどで還元する予定だ。
ソースコードをビルドして実行

Braveはオープンソースソフトウエア(OSS)として開発されており、ソースコードをビルドすればLinuxでも試すことができる。ビルドするには、JavaScript環境の「Node.js」の5.0以上、Node.jsの拡張モジュールをビルドするツールである「node-gyp」の3.2.1以上が必要になる。
Ubuntu 15.10 日本語 Remixでは、右記のコマンドでビルドから起動までできた。
執筆時点でのバージョンは「0.7.9」で、広告ブロック以外の機能は十分に備わっていなかった。今後の開発計画によれば、2016年8月ごろに「1.0」の安定版がリリースされる予定だ。