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持ち出した6600万人の「虎の子」

 そこで今回、サービス名を変更して「ビジネス版LINE」という位置づけをより鮮明に打ち出すことにしたわけだ。だが、単なる看板の掛け替えではない。今回LINEはもう一つ、他社が真似できない独自性を打ち出してきた。アクティブユーザーだけで国内に6600万人いるLINEの個人ユーザーという虎の子の資産を活用するのだ。

国内だけでアクティブユーザー6600万人という、個人向けLINEの「虎の子」資産を生かし差異化を図る
国内だけでアクティブユーザー6600万人という、個人向けLINEの「虎の子」資産を生かし差異化を図る
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 一般的なビジネスチャットは、ユーザー企業内の社員相互間でメッセージなどをやり取りするものだ。一方でLINE WORKSは、社員同士だけでなくLINEの個人会員とも「友だち」になりメッセージを送受信できる。法人ユーザー内で権限を与えられた社員であれば、LINEの個人会員宛てに招待を送り、個人会員がそれを承認すればよい。

 もともとLINEには、法人アカウントを作成できる「LINE@」という機能がある。これは「企業の代表窓口というイメージ」(ワークスモバイルジャパン 執行役員 プロダクト・セールスサポート統括の萩原雅裕氏)。企業側から情報をプッシュ配信するには向いているが、個人同士がつながるというLINEの元々の機能とは異なるものだ。

 その点、LINE WORKSは社員一人ひとりに異なるアカウントを付与するため、より個人色が強く、きめ細かなメッセージのやり取りもしやすい。「自動車ディーラーや生損保の営業担当者がそれぞれアカウントを持ち顧客とつながるといったニーズを想定している」(出澤社長)。個人ユーザーがLINEのアプリを起動しメッセージを読む頻度も高く、メールなどより確実なアプローチも見込める。そして何より、競合他社でそうしたユーザー資産を持つところは少ない。実際同社は、「LINEとつながる唯一のビジネスチャット」というキャッチフレーズでLINE WORKSをアピールしている。

無料プランなくても「十分価値を理解してもらえる」

 虎の子の資産を投入し、満を持して「LINE」を冠するサービス名に変更したLINE WORKS。それだけに発表会では、強気の姿勢が垣間見えた。例えば料金。LINE WORKSの料金プラン(税別)は月額360円、同600円、同1200円の3通り。競合他社のサービスでは当然のように用意している無料プランを、LINE WORKSでは用意していないのだ。

 無料プランを用意しない理由について、ワークスモバイルジャパン 代表取締役社長の松橋博人氏は「無料を前面に押し出す事業モデルでは、販売代理店が顧客に薦めづらい」ことを挙げる。「日本では、法人ユーザーとSIベンダーが常日頃から接点を持っており関係が強い。そうした力のあるSIベンダーが親身に法人ユーザーの相談に乗り、LINE WORKSを提案できるよう推進していくには、有償が向いている」と明かす。

 無料プランがない理由はそれだけではない。「1カ月の無料お試しは提供する。それを使い評価してもらえれば、顧客に十分価値を理解してもらえると考えている」(松橋社長)。無料サービスを含め、多数の競合サービスがひしめくなかでも、強みを生かし選んでもらえるとの自信を示す。