同社はAdobe Senseiの機能を「Photoshop」「Illustrator」といった製品や、「Creative Cloud」「Marketing Cloud」などのクラウドサービスに組み込んで提供する。加えて、開発者向けサービスであるAdobe I/Oを通じて、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)として提供。同社のパートナーや開発者はAdobe SenseiのAI機能を利用してアプリケーションを開発できる。
イーマン氏は他のIT企業が提供するAIとの違いについて、「Adobe Senseiは我々の製品やサービスを利用する顧客だけに焦点を当てている」点を挙げる。「顧客が行う作業の生産性や効率を上げるのが狙いであり、自動運転車やチェスの機械は作らない」(イーマン氏)。
ポンチ絵を基に画像を作成
同社らしさが表れているのは画像などイメージを扱う機能だ。その一つがクリエイティブ分野で提供する「コンテンツインテリジェンス」。写真をアップロードすると、アドビが持つ写真ライブラリを基にその画像の属性を推測し、自動的にタグ付けする。深層学習(ディープラーニング)を利用しているという。
例えば、米ワシントンD.C.の「ワシントン記念塔(Washinton Monument)」の写真をアップロードすると、写真の属性を推測して「monument(90)」「obelisk(78)」「washington monument(75)」といった具合にタグ候補を確信度とともに表示する。ちなみにobeliskは方尖塔を意味する。
「この機能はマーケティング担当者の負荷軽減につながる。膨大な写真に一つひとつタグを付加する作業から解放されるからだ」(イーマン氏)。タグを付けておけば、後で適切に検索できるようになる。