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 米インタートラスト・テクノロジーズのタラル・シャムーンCEO(最高経営責任者)は、日本市場でIoT(モノのインターネット)に関わるセキュリティ技術やプライバシー保護技術の販売を始めたことを明らかにした。まず自動車業界に狙いを定め、車載デバイスのセキュリティを高める用途で採用を働きかける。

 インタートラストは1990年創業で、コンテンツの違法コピーを防ぐ著作権管理(DRM:Digital Rights Management)技術「Marlin DRM」をライセンス提供する企業として知られる。同社は2003年にソニーと蘭フィリップスのジョイントベンチャーに買収され、今も両社が株式の大半を保有する。

写真●米インタートラスト・テクノロジーズのタラル・シャムーンCEO
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写真●米インタートラスト・テクノロジーズのタラル・シャムーンCEO

 同社は近年、IoTセキュリティ分野の技術開発や、IoT関連企業への投資活動にも注力している。2011年には、インターネットにつながるサーモスタット(温度調節装置)や煙感知器製造を開発する米ネスト・ラボに出資。その後ネスト・ラボは、2014年1月に米グーグルが32億ドルで買収している。これはグーグル史上2番目の規模の買収となる。

 新市場としてのIoTへの期待が高まると共に、IoTのセキュリティリスクについて懸念する声が相次いでいる。米FTC(連邦取引委員会)は2015年1月に公開した報告書で、IoTのプライバシー保護とセキュリティ強化に向けた現実的な取り組みを進めるよう、デバイスメーカーに強く促した。日本でも、政府内のサイバーセキュリティ戦略本部が2015年4月、IoTのセキュリティをテーマにした専門調査会を発足させている。

 インタートラストは、なぜ早い段階でIoTに注目し、有望企業にいち早く投資できたのか。どのような技術でIoTのセキュリティを高めるのか。シャムーンCEOに聞いた。

なぜ2011年の段階で米ネスト・ラボに注目し、出資できたのか。

 ネスト・ラボの創業者とは昔からの知り合いで、「家庭内にサーモスタットなどのデバイスを置き、データを収集する」という同社のビジネスについて話を聞く機会があった。

 彼は、この事業を拡大させる上で、二つの問題があると話していた。一つはネットワークセキュリティ、もう一つはデータプライバシーだ。私は、「こうした問題の解決に取り組めるのは面白い、クールだ」と考え、出資を決めた。もちろん、ネスト・ラボのチームが非常に優れていたのも、投資を決めた要因の一つだ。

 なぜグーグルがネスト・ラボを買収したかについては、他の株主の意向もあったところで、我々が詳しく知るところではない。少なくともグーグルが、多くのユーザープロファイルを必要としているのは確かだ。

 グーグルは検索エンジン、Gmail、Androidを通じ、人の好みや行動を把握できる。グーグルがさらに家庭内のサーモスタットの情報が得られることになれば、エアコン設定のオンオフを通じ、就寝や起床の時間も取得できるだろう。個人的には、取得しているデータ量の割には、ユーザーの恩恵は少ないように思うが…。

そもそも、DRM技術の企業として知られていたインタートラストが、なぜIoTビジネスに参入したのか。

 インタートラストは1990年の創業当初から、「オープンなネットワーク上で、どうすればデバイスを信頼し、データを保護できるか」をテーマに研究開発する企業だった。最初に開発したのは、信頼できるセキュアOSの開発だった。