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写真●全社員向けマイナンバーeラーニングの外販を始めたマンパワーグループのセミナー
写真●全社員向けマイナンバーeラーニングの外販を始めたマンパワーグループのセミナー
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 人材サービス大手のマンパワーグループは2015年5月13日に、野村総合研究所が監修した「マイナンバー制度研修」というeラーニングシステムの提供を始めた(写真)。マイナンバー制度の研修教材は既に数多く存在するが、パートやアルバイトを含む全社員を対象にした点が特徴だ。

 マイナンバーの教育を全社員に実施すべきかどうかは、公式には曖昧な状態だ。マイナンバー制度の監督を担う特定個人情報保護委員会のガイドラインで求められているのは、事務取扱担当者への周知や教育。具体的には、マイナンバーにひも付く「特定個人情報」の取り扱いについて、定期的な研修を実施する、特定個人情報の秘密保持を就業規則に盛り込む、といった方法が例として挙げられている。

 2014年12月に公表されたガイドラインへのパブリックコメント(意見募集)では、教育の対象者は「事務取扱担当者」のみか「事務取扱担当者以外の社内の全従業員」を含むのかという質問が寄せられた。特定個人情報保護委員会は、企業の規模や事務の特性に応じて判断するよう求めると回答して、明確な指示は避けている。

 だが、企業ごとのマイナンバーの運用実務を考えると、全社員への教育が必要なことは明らかだ。企業は税務や社会保障の手続きで、社員一人ひとりからマイナンバーを提供してもらう。その際、マイナンバーを企業に提供する理由を理解していない社員がいれば、手続きが滞りかねない。

 さらに企業には、社員によるマイナンバーの漏洩や不正利用を防がなければならない、という責任もある。社員が漏洩や不正利用などに加担したり、ソーシャルメディアで漏洩させたりしないようにする対策の一つとして、全社員への教育は不可欠だ。

 一部の業界では、顧客対応の窓口担当者にもマイナンバーや個人番号カードについて理解させる必要もある。例えば、これまで免許証などで顧客の本人確認を行ってきたケースでは、個人番号カードを利用した本人確認の際に、カードの裏面に記載されたマイナンバーを不正に取得しないようにしなければならない。法定外の業務で番号を控えると、不正収集に当たる恐れがある。不要なマイナンバーを社内に持ち込ませない教育が必要だ。

認知度の低さは国会でも問題視

 マイナンバー制度の認知度の低さは、国会でもたびたび問題視されている。預貯金口座やメタボリックシンドロームの健康診断(特定健診)などにマイナンバーを付番する法改正案を審議している衆議院内閣委員会では、与党議員が文部科学省などの省庁の担当者を呼んで学校教育での広報について答弁させたり、首相の指示によって各大臣に関係団体を通じて今年夏までに制度の周知をするように求めたりする場面もあった。

 野党からは、マイナンバー制度の認知度が低いまま法改正で利用範囲を拡大することに疑問や批判の声が上がっている。マイナンバーの扱い方が浸透しないまま2015年10月に通知カードが送られて、混乱に陥る事態は避けなければならない。